ホームページ制作会社から、初期費用0円、月々2万円だけでホームページが持てるという営業を受けたことはないでしょうか。魅力的な提案に見えても、実際の契約書にはリース契約という文言が隠れているケースが少なくありません。中途解約もクーリングオフも原則できず、総額が想定を大きく上回ることもあります。
この記事では、当社に寄せられた実際の相談事例や、リース契約の危険性、契約してしまった場合の対処法を解説します。
ホームページ制作のリース契約とは
ホームページ制作のリース契約とは、月額数万円程度の支払いでホームページを持てるとうたう契約形態です。一見するとサブスクリプション型のサービスと似ていますが、実態は大きく異なります。
ホームページそのものは形のない無形物であるため、本来はリースの対象になりません。そこで、こうした契約を持ちかける業者は、専用のソフトウェアやタブレットといった有形の物品を用意し、それをリースするという形をとります。契約書上は物品を借りるだけの契約に見えますが、実際にはホームページ制作の費用がリース料に上乗せされています。
契約の当事者も、制作会社と依頼者の二者間ではありません。制作会社、リース会社、依頼者という三者間の契約になっており、依頼者が署名した瞬間、リース会社が契約内容によっては100万円を超える代金を制作会社へ一括で支払います。その後、ホームページの品質や集客効果とは関係なく、依頼者だけが長期間の支払い義務を負い続ける構造になっています。
ホームページ制作のリース契約が危険な理由

ホームページ制作のリース契約には、契約者側に一方的に不利な仕組みがいくつも組み込まれています。ここでは代表的な5つの危険性を解説します。
総額が想定より高額になる
リース契約は月額数万円という支払いの小ささが強調されがちですが、契約期間をかけ合わせた総額で見ると、市場相場を大きく上回ることがあります。
例えば月額3万円で5年契約なら180万円、月額4.5万円で7年契約なら378万円に達します。一方、一般的な制作会社に直接依頼した場合のコーポレートサイト制作費は30万円から80万円程度が相場とされており、リース契約による総支払額は市場相場の3倍から10倍以上に膨れ上がる計算になります。
月々の負担感だけで判断せず、契約前に月額と契約月数を掛け合わせた総額を計算しておくことが欠かせません。
中途解約は原則できない
リース契約は、契約成立と同時にリース会社が対象物の購入費用を一括で立て替え払いする仕組みです。
契約者はその立て替え分を、リース料として分割で返済していく形になります。中途解約を認めてしまうと、リース会社は立て替えた資金を回収できなくなるため、契約期間中の解約は原則として認められません。ホームページの効果が出なくても、担当者の対応に不満があっても、契約者側から一方的にやめることはできない仕組みです。
例外的に解約できる場合も、残りのリース料に相当する高額な違約金が発生します。
クーリングオフ制度が適用されない
クーリングオフは、訪問販売や電話勧誘販売などで契約後一定期間なら無条件解除できる制度ですが、特定商取引法第26条第1項第1号は「営業のために若しくは営業として締結する契約」を適用対象外としています。事業として結ぶホームページ制作のリース契約は、この除外規定に該当するため、原則としてクーリングオフは使えません。
ただし、契約対象が本来の事業と無関係であったり、事業者としての知識や経験が一般消費者と同程度とみなされたりする場合には、例外的に消費者性が認められ、クーリングオフの行使が認められる余地もあります。
サイト自体が自社の所有物にならない
リース契約における対象は、あくまでソフトウェアやタブレットなどの有形物であり、ホームページそのものの権利は依頼者に帰属しません。
長期間にわたって高額な料金を支払い続けても、公開されたホームページはリース会社が所有する有形物に付随する成果物という位置づけにとどまり、自社の資産として保有することにはならない点に注意が必要です。
制作会社が倒産や連絡不能になっても支払いは続く
リース契約が成立した時点で、リース会社は制作会社へ代金を一括で支払い済みです。
そのため、制作会社が倒産したり連絡が取れなくなったりしても、依頼者はリース会社への支払い義務をそのまま負い続けます。実際に、約1,000名規模のユーザーが被害を受けたある集団訴訟では、業者が2017年に破産した後も、信販会社やリース会社からユーザーへの請求が続けられました。
全国の被害者が弁護団を結成し、約5年に及ぶ法廷闘争の末、最終的に請求額の3割減額という判決を勝ち取っています。
当社が聞いたことがあるリース契約の事例

リース契約をめぐっては、これまで当社にもお客様からさまざまな相談が寄せられてきました。ここでは、実際に耳にした4つの事例を紹介します。
すでにホームページを持っていた事例
既にホームページを運用しているお客様のもとに、営業電話がかかってきたケースです。
格安でサテライトサイトを制作すれば、さらに高い集客効果が見込めると持ちかけられ、一度話だけでも聞いてみることにしました。電話の段階ではリースという言葉は一切出ていませんでしたが、実際に対面で打ち合わせをしたところ、リース契約であることが判明したため、契約には至りませんでした。
リースと言わずに商談が進んだ事例
ある日、飛び込み営業を受けたお客様が、一度話を聞いてみようと打ち合わせに応じたケースです。担当者はリースという言葉を使わず、月額2万円程度でこの規模のホームページが作れるという説明に終始しました。金額だけを聞くと悪くない条件に思え、契約直前まで話が進みましたが、契約書を確認した段階でリースの記載を発見し、契約を見送りました。
SEO効果が保証されていた事例
SEOに強いホームページ制作を得意とするという説明を受け、契約に至ったケースです。
提案されたCMSにはSEOツールがあらかじめ組み込まれており、使いこなせば上位表示が実現できるという話でした。契約後は1年間、業者の提案通りに運用を続けましたが、検索順位が上がることはありませんでした。
急にサポートが薄くなった事例
リース契約であることを理解したうえで契約したケースです。
リース契約自体に問題はないと考えていましたが、実際には当初の説明ほど手厚いサポートを受けられませんでした。契約期間中は状況を変えられないため、リースの満了を待ってから当社へ相談が寄せられました。
リース契約をしてしまった場合の対処法

すでにリース契約を結んでしまった場合、自己判断で解約を申し出たり、一方的に支払いを止めたりするのは避けてください。遅延損害金を請求されたり、信用情報機関に登録されたりするリスクがあります。落ち着いて、次の2つの対処法を検討しましょう。
消費者ホットラインや消費生活センターに相談する
まずは消費者ホットライン「188」に電話し、最寄りの消費生活センターにつないでもらいましょう。
営業を受けた日時や担当者名、説明された内容をできる限り記録しておくと、後の交渉材料になります。行政の窓口は助言が中心で、リース会社への直接交渉や法的措置までは行えませんが、相談実績として記録が残る点が重要です。
弁護士に相談する
リース契約の無効主張や、信義則に基づく支払い額の減額交渉には、専門的な法律知識が必要です。
消費者被害に詳しい弁護士に相談すれば、リース会社への内容証明郵便の送付や、和解交渉、必要に応じた訴訟対応まで任せられます。日本弁護士連合会や地域の弁護士会の法律相談センターを通じて、消費者被害に精通した弁護士を紹介してもらうことが可能です。
ホームページ制作のリース契約に関するよくある質問
ここでは、ホームページ制作のリース契約について、よくある質問に回答します。
リース契約をせずに安くホームページを制作する方法はありますか?
あります。
制作会社と直接契約する分割払いであれば、リース会社を介さないため中途解約も原則可能です。ほかにも、格安プランを提供する制作会社への依頼や、月額制・サブスクのホームページ制作サービスなど、リースに頼らず費用を抑える方法は複数存在します。
提案書に記載がなくてもリース契約は有効ですか?
有効です。
契約の効力を左右するのは、営業担当者の口頭説明や提案書の記載内容ではなく、実際に署名する契約書そのものです。提案書にリースという文字がなくても、契約書に信販会社やリース会社の名前が記載されていれば、実質的にリース契約である可能性が高いといえます。
契約前には、契約書に記載された会社名の中に、信販会社やリース会社が含まれていないかを必ず確認しましょう。
対処すれば支払いはなくなりますか?
必ずなくなるとは限りません。
過去の判例では、制作会社がホームページを完成させないまま契約が滞った事案で、リース料の債務が存在しないと認められたケースがあります。一方、集団訴訟にまで発展した別の事案では、約5年にわたる法廷闘争の末、支払い額が3割減額されるにとどまりました。
ホームページが完成しているかどうかなど、個別の事情によって結果は大きく異なるため、早い段階で弁護士に相談し、自社のケースがどちらに近いかを見極めることが重要です。
まとめ
ホームページ制作のリース契約は、無形物であるホームページに有形物を組み合わせることで成立させた、契約者側に一方的に不利な仕組みです。
総額が想定を大きく上回ること、中途解約もクーリングオフも原則できないこと、サイト自体が自社の所有物にならないこと、制作会社が倒産しても支払い義務は残ることなど、複数のリスクが重なっています。
営業電話や飛び込み営業を受けた際は、その場で契約書に署名せず、契約書に信販会社やリース会社の名前が記載されていないかを確認してください。すでに契約してしまった場合も、自己判断で解約や支払い停止をせず、消費者ホットラインや弁護士に相談することで、状況を改善できる可能性があります。
ホームページ制作の依頼先を選ぶ際は、リース契約で本当に良いかを再度確認し、自社に合った方法を選びましょう。
