ECサイト

公開日:2026.11.04最終更新日:2026.11.04

ECサイト制作における特定商取引法に基づく表記の書き方

特定商取引法に基づく表記

ECサイトを制作するときは特定商取引法に基づく表記を必ず載せる必要がありますが、どの項目をどう書けばよいか分からない方も多いのではないでしょうか。書き方によっては、想定していない返品を受けることになったり、行政処分の対象になったりすることもあります。

この記事では、特定商取引法に基づく表記の基本項目と書き方、作るときの注意点を解説し、当社がECサイト制作の前に表記を決める理由も紹介します。

特定商取引法に基づく表記はECサイトに必ず載せる

ECサイトで商品を販売する事業者は、特定商取引法に基づく表記をホームページに必ず載せる必要があります。ここでは、載せる必要がある根拠と、載せていない場合に起きることを解説します。

特定商取引法で通信販売の事業者に表示が義務付けられている

特定商取引法では、インターネットや郵便、電話などで申し込みを受けて商品やサービスを販売することを通信販売としています。

ECサイトでの販売はこの通信販売にあたり、商品を紹介するページは通信販売の広告として扱われます。特定商取引法では、通信販売の広告に事業者の名称や住所、販売価格、返品の条件などを表示することが義務付けられており、これらをまとめて載せたページが特定商取引法に基づく表記です。

ECサイトでは、ユーザーは商品を手に取って確かめられず、販売者と顔を合わせることもありません。どこの誰が販売しているのか、いつ届くのか、返品できるのかが分からないまま購入するとトラブルになりやすく、特定商取引法に基づく表記は、ユーザーが購入前にこうした情報を確認できるようにするための決まりです。

表示の義務は法人だけでなく、個人で運営するネットショップにもあります。個人であっても、利益を得る目的で商品を繰り返し販売していれば事業者として扱われ、特定商取引法に基づく表記を載せる必要があります。副業でハンドメイド作品を販売しているネットショップや、自宅で小さく始めたネットショップも対象です。

一方で、自宅の不用品をフリマアプリでたまに売る程度であれば、事業者にはあたりません。

載せていないと行政処分の対象になる

特定商取引法に基づく表記を載せていない場合や、必要な項目が抜けている場合は、特定商取引法の違反になります。

違反が分かると、消費者庁や都道府県から改善するよう指示を受けたり、一定期間の業務停止を命じられたりする行政処分の対象になります。行政処分を受けると事業者の名前と違反の内容が公表されるので、ECサイトだけでなく会社やお店そのものの信用にも影響します。さらに、指示や命令に従わなかった場合は罰則が科されることもあります。

行政処分は、ユーザーからの苦情や消費生活センターへの相談がきっかけになることがあり、小さなネットショップだから見つからないということはありません。ECサイトを公開する時点で、特定商取引法に基づく表記に必要な項目がそろっている状態にしておくことが大切です。

特定商取引法に基づく表記に載せる基本項目と書き方

ECサイトの特定商取引法に基づく表記には、どのECサイトでも共通して載せる基本項目があります。基本項目と書き方、記載例を表にまとめました。

項目 書き方
事業者の名称と代表者または責任者の氏名 法人は登記している正式な社名を書き、代表者または通信販売の責任者の氏名を書きます。個人の場合は屋号だけでなく本名を書きます。
(記載例:株式会社〇〇〇〇 代表取締役 〇〇〇〇)
住所と電話番号、メールアドレス 住所は番地や建物名、部屋番号まで省略せずに書きます。電話番号とメールアドレスは、ユーザーからの連絡が確実につくものを書きます。
(記載例:大阪府大阪市〇〇区〇〇1-2-3 〇〇ビル5階 TEL:06-0000-0000 MAIL:info@example.com)
販売価格 消費税を含めた金額で書きます。商品ごとに価格が違う場合は、各商品ページに記載していることを書きます。
(記載例:各商品ページに税込価格で表示しています)
送料や手数料など商品代金以外に必要な料金 送料、代金引換の手数料、銀行振込の振込手数料など、商品代金のほかにユーザーが支払う料金を金額まで書きます。
(記載例:送料:全国一律800円(税込)、5,000円以上のご注文で送料無料 代金引換手数料:330円(税込))
代金の支払時期と支払方法 ECサイトで使える支払方法と、それぞれいつ支払うのかを書きます。
(記載例:クレジットカード:ご注文時にお支払い 銀行振込:ご注文から7日以内にお振込み)
商品の引渡時期 注文や入金の確認から、商品を発送するまで、または届くまでの日数を書きます。
(記載例:ご入金確認後、3営業日以内に発送します)
返品やキャンセルの条件 返品やキャンセルができるかどうか、できる場合の期限や条件、送料をどちらが負担するかを書きます。
(記載例:商品到着後7日以内、未使用品に限り返品を受け付けます。お客様都合の返品の送料はお客様負担となります)

表の中でも、送料と返品やキャンセルの条件は、ECサイトによって書く内容が大きく変わる項目です。

送料は、配送する地域や商品の大きさ、注文金額によって金額が変わるECサイトが多くあります。地域ごとに送料が違う場合は地域別の金額を、一定の金額以上で送料無料になる場合はその条件を書き、ユーザーが注文前に自分の支払う送料を計算できるようにします。冷蔵や冷凍の商品でクール便の料金がかかる場合も、追加でかかる金額を書きます。

返品やキャンセルの条件は、お客様都合の返品と、商品の不良や配送ミスによる返品を分けて書きます。

お客様都合の返品を受けない場合はそのことをはっきり書き、受ける場合は期限と商品の状態の条件、返送の送料の負担を書きます。不良品や注文と違う商品が届いた場合は、交換や返金の方法と、送料を事業者が負担することを書くと、ユーザーが安心して購入できます。

注文後のキャンセルについても、発送前ならキャンセルできるのか、どの時点からできなくなるのかを書いておくと、問い合わせのやり取りが減ります。

ECサイトの販売方法によって追加で書く内容

特定商取引法に基づく表記は、基本項目だけで足りるECサイトばかりではありません。定期購入や予約販売など、ECサイトの販売方法によっては基本項目に加えて書く内容があります。

定期購入で販売する場合

定期購入は、ユーザーが一度申し込むと商品が毎月など決まった間隔で届き、そのたびに代金を支払う販売方法です。初回だけ安い価格で申し込んだのに、解約できない回数の縛りがあった、という相談が多く、特定商取引法では定期購入について書く内容が細かく決められています。

定期購入で販売するECサイトでは、特定商取引法に基づく表記に、定期購入の契約であること、商品が届く間隔と各回の代金、契約期間や回数の縛りがあればその内容、支払う代金の総額を書きます。初回と2回目以降で価格が違う場合は、それぞれの金額を書き、初回の価格だけが目立つ書き方にしないことが大切です。

解約については、いつまでに、どの方法で連絡すれば次回の発送を止められるのかを具体的に書きます。電話だけ、メールだけなど解約の受付方法を限る場合は、その方法も書いておきます。

予約販売や受注生産で販売する場合

予約販売や受注生産は、注文を受けてから商品が届くまでに時間がかかる販売方法です。基本項目の商品の引渡時期を、通常の商品と同じ書き方にしていると、ユーザーはすぐに届くと思って注文してしまいます。

予約販売の場合は、発売予定日や発送を始める予定の時期を書きます。発売日が延びる可能性がある商品は、延期になった場合にどう連絡するのか、キャンセルを受け付けるのかも書いておきます。

受注生産の場合は、注文を受けてから発送するまでの期間を「注文から約3週間で発送」のように具体的な日数で書きます。オーダーメイドの商品のように、お客様に合わせて作るため返品を受けない場合は、そのことを受注生産の商品の条件として書いておきます。

期間や数量を限定して販売する場合

期間限定のセールや、数量限定の商品を販売する場合は、その期間や数量を特定商取引法に基づく表記に書きます。特定商取引法では、申し込みを受け付ける期間が決まっている場合や、販売数量の制限など特別な販売条件がある場合は、その内容を表示することが求められています。

期間限定の場合は、いつからいつまで申し込みを受け付けるのかを日付まで書きます。数量限定の場合は、限定の数量や、お一人様〇点までといった購入数の制限を書きます。

ECサイトの中で期間や数量の限定がある商品が一部だけの場合は、特定商取引法に基づく表記には各商品ページに記載していることを書き、商品ページで具体的な期間や数量を示す形でも問題ありません。

デジタルコンテンツやソフトウェアを販売する場合

電子書籍や動画、音楽、ソフトウェアなど、ダウンロードやオンラインで提供する商品を販売する場合は、ユーザーが使うための動作環境を書きます。対応しているOSやブラウザ、必要な容量などが分からないまま購入すると、ユーザーの端末で使えないというトラブルになります。

商品の引渡時期は、決済の完了後すぐにダウンロードできる、メールでダウンロード用のURLを送る、など提供の方法とあわせて書きます。デジタルコンテンツは一度ダウンロードすると返品の確認ができないので、返品を受けない場合はそのことをはっきり書いておきます。

特定商取引法に基づく表記を作るときの注意点

特定商取引法に基づく表記は、必要な項目を並べるだけでは不十分な場合があります。作るときに見落としやすい注意点を解説します。

住所や電話番号は条件を満たさないと省略できない

個人で運営するネットショップでは、自宅の住所や個人の電話番号を特定商取引法に基づく表記に載せたくないという相談がよくあります。特定商取引法では、ユーザーから請求があれば遅滞なく開示することを表記に書いたうえで、実際にすぐ開示できる体制を整えている場合に限り、住所や電話番号などの一部の項目を省略することが認められています。

省略する場合は、住所や電話番号の欄に「請求があった場合は遅滞なく開示します」と書き、開示を求める連絡先のメールアドレスなどを載せます。開示の請求があったのに返事をしなかったり、開示までに何日もかかったりすると、条件を満たしていないことになります。

省略できるのは条件を満たした場合だけで、何も書かずに空欄にしたり、項目ごと消したりすることはできません。

最終確認画面にも価格やキャンセルの条件を表示する

ECサイトでは、特定商取引法に基づく表記のページとは別に、注文を確定する直前の最終確認画面にも表示しなければならない内容があります。2022年6月に施行された特定商取引法の改正で、最終確認画面には、商品の数量、販売価格、支払時期と支払方法、引渡時期、申し込みの期間がある場合はその期間、キャンセルや返品の条件を表示することが義務付けられました。

最終確認画面では、これらの内容をユーザーが注文を確定する前に見られる位置に表示します。特定商取引法に基づく表記へのリンクを置くだけで、最終確認画面には何も表示しない作りは認められません。

定期購入の場合は、支払総額や解約の条件が最終確認画面で分からないと、ユーザーが誤解したまま注文することになります。誤解させる表示で申し込みを受けた場合は、ユーザーが申し込みを取り消せることがあるので、カートや注文確認の画面を作る段階で表示する内容を決めておく必要があります。

返品の条件を書いていないと商品到着から8日間は返品を受ける

ECサイトなどの通信販売には、訪問販売のようなクーリング・オフの制度はありません。その代わりに、特定商取引法に基づく表記で返品の条件を書いていない場合は、ユーザーは商品を受け取った日から8日以内であれば、申し込みを撤回して返品できることになっています。この場合の返品の送料はユーザーの負担です。

返品を受けないECサイトや、未使用品に限るなど条件を付けたいECサイトでは、特定商取引法に基づく表記に返品の条件をはっきり書いておく必要があります。返品の条件は、特定商取引法に基づく表記のページと最終確認画面の両方に表示します。表記のページには書いていても、最終確認画面に表示していないと、条件を書いていないものとして扱われることがあります。

送料や販売方法を変えたら表記も合わせて直す

特定商取引法に基づく表記は、ECサイトを公開したときのまま放置されやすいページです。送料の値上げや決済方法の追加、発送までの日数の変更、定期購入の開始など、ECサイトの販売の条件を変えたときは、特定商取引法に基づく表記も合わせて直します。

カートの送料設定は変えたのに、特定商取引法に基づく表記には古い送料が残っていると、ユーザーはどちらが正しいのか分からなくなり、トラブルや問い合わせの原因になります。販売の条件を変えるときは、カートの設定や商品ページと一緒に、特定商取引法に基づく表記と最終確認画面の表示も確認する流れを決めておくと、直し忘れを防げます。

当社がECサイト制作の前に特定商取引法に基づく表記を決める理由

当社では、ECサイト制作を始める前に、まず特定商取引法に基づく表記にどのような内容を載せるのかを定めています。お客様にヒアリングをしながら、事業者の情報だけでなく、送料や支払方法、引渡時期、返品やキャンセルの条件まで、特定商取引法に基づく表記の項目をすべて埋めてから、ECサイトの制作に進みます。

特定商取引法に基づく表記の内容は、ECサイトの設定とそのままつながっています。どの決済方法を入れるかで支払時期と支払方法が決まり、送料の条件はカートの送料設定に、引渡時期は発送の体制に、キャンセルの条件は注文管理の運用に関わります。

制作の途中や公開の直前に特定商取引法に基づく表記を作り始めると、送料の条件や決済方法がそこで変わり、すでに作ったカートや注文の設定を作り直すことになりかねません。先に表記を決めておくことで、ECサイトの設定を一度で決められます。

また、送料や返品の条件、お届けまでの日数は、特定商取引法に基づく表記だけに書く内容ではありません。商品ページやご利用ガイド、よくある質問、カートや最終確認画面など、ECサイトの多くのページに同じ内容が出てきます。

特定商取引法に基づく表記を先に決めておけば、ほかのページの原稿もその内容をもとに作れるので、ページごとに条件が違うといったブレがなくなります。

まとめ

特定商取引法に基づく表記は、項目を埋めるだけのページではなく、送料や決済、発送、返品といったECサイトの販売の条件そのものを決めるページです。ECサイトの設定やほかのページの原稿と内容がずれないよう、制作に入る前に決めておくことが大切です。

当社では、ECサイト制作を始める前に、お客様へのヒアリングをもとに特定商取引法に基づく表記の内容を決め、その内容に合わせてカートの設定や各ページの原稿を作っています。販売の条件が最初から整理されているので、公開後も表記と実際の運用が食い違わないECサイトに仕上がります。

これからECサイトを立ち上げたい、今のECサイトは表記や送料の条件がページごとにばらばらになっている、といったお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。

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