- 2023.07.15
スマホサイト制作のメリットとデメリット
スマートフォンの利用者数が増加する中、ホームページ制作の戦略はどう進化してきたのでしょうか。
近年、企業や個人事業者がホームページを制作・運営する際、スマホユーザーの視点を取り入れることが不可欠となっています。
この背景の下、ホームページの制作方法として「レスポンシブWebデザイン」と「専用スマホサイト制作」の2つのアプローチが存在します。
どちらにも一長一短がありますが、本ページでは特にスマホ専用サイト制作のメリットとデメリットに焦点を当てて詳しく解説いたします。
スマホサイトとは
スマホサイトとは、スマートフォンの画面サイズと操作性を最適化したホームページのことを指します。近年、スマートフォンの利用が急増しており、その結果、ホームページの閲覧環境も大きく変わりました。
そこで、ユーザーの閲覧体験を向上させるために、スマホ専用のホームページ制作が求められるようになりました。
従来のパソコン用のホームページは、そのままスマートフォンで表示させると操作が難しく、情報の読み取りにくさが生じる場合があります。スマホサイトは、このような問題を解消するために誕生しました。
具体的には、ボタンの大きさ、文字のサイズ、レイアウトなどがスマートフォンの操作に合わせて設計されています。
ユーザーがスマートフォンでホームページにアクセスすると、その背後で「ユーザーエージェント」という情報がサーバーに送られます。この情報を元に、サーバー側はユーザーが使用しているデバイスがスマートフォンであるかを判断し、適切なホームページ(スマホ版またはPC版)を表示させます。
結果として、企業やサービス提供者は、スマホユーザーとPCユーザーの両方に最適化された情報提供と利便性を実現できるようになります。ホームページ制作時に、この2つの環境を考慮することは、現代のユーザー体験を重視する上で欠かせないポイントとなっています。
スマホサイト制作のメリット
スマホを利用した訪問者数が増えている
スマートフォンの普及に伴い、ホームページへの訪問者数もこのデバイスからのアクセスが急増しています。この傾向は、近年のホームページ制作の実績からも明確に確認できます。
例えば、2021年の制作実績では、ネットショップの訪問者のうち70%、BtoC企業のコーポレートサイトは50%、そしてBtoB企業のコーポレートサイトでは40%がスマホユーザーでした。
一方、2023年になると、この数字はさらに上昇。ネットショップでは80%、BtoC企業のサイトでは65%、BtoB企業のサイトでは50%がスマホユーザーとなりました。
これらのデータからも、約10%の増加を示すこの2年間の変化は、ユーザーの行動の変容を如実に示しています。
しかし、単なる数字の増加だけではない重要なポイントがあります。
現代のユーザーは、情報を求める際に多くの選択肢を持っています。従って、もしホームページがスマホ対応していない、または操作性が低いと感じた場合、他の情報源やサイトへと簡単に移動してしまいます。この結果、ビジネスチャンスや信頼の機会を失ってしまう可能性が高まります。
このような背景から、スマホ対応のホームページ制作はもはや選択の余地がなく、ビジネスの成功に直結する絶対的な要素となっています。これからも、変わりゆくユーザーのニーズに柔軟に応じ、最良のユーザーエクスペリエンスを提供することが求められるでしょう。
スマホで検索したときのSEO効果がアップ
現代のインターネット環境では、スマホからのアクセスが主流となりつつあります。サーチエンジンもこのトレンドを認識しており、スマホ対応したホームページに対して特定の評価を持ち、SEOのアルゴリズムに影響を及ぼしています。
具体的には、スマホで最適化されたホームページは、スマホからの検索時に、より高い評価を受ける可能性が高まります。これはサーチエンジンがユーザー体験を最優先に考えるため、スマホユーザーに最適なページを提供したいという狙いがあるからです。
昨今のホームページ制作のトレンドとして、スマホ対応はもはや基本中の基本となっています。そのため、逆に言うと、スマホ対応をしていないホームページは、サーチエンジンの評価を大きく損なうリスクが増えるのです。これは、ビジネスの視点からも、スマホユーザーを無視することのデメリットを示しています。
しかし、スマホ対応だけを行うだけでは十分ではありません。ユーザビリティやデザイン、コンテンツの質など、多岐にわたる要素がSEOの評価を左右します。
とはいえ、スマホ対応のホームページ制作は、SEOの観点からも非常に価値があり、その重要性は今後も増していくことは間違いありません。ホームページ制作の際には、この点を強く意識し、ユーザーにとっての最良の経験を提供することが、最終的にSEO効果の向上に繋がるのです。
コンテンツを大幅に変更ができる
デジタル時代の展開に伴い、ホームページの役割とその重要性は日々変化しています。特に、ユーザビリティやデザインに関する要求は、その進化を加速させています。この中で、スマホサイトの制作は、ホームページに新たな可能性をもたらすキーとなっています。
スマホ対応の方法として、レスポンシブWebデザインが一般的に取り入れられています。これは、ある一つのHTMLでデバイスごとの表示を最適化する手法です。しかし、この方法には制約があり、大きな変更をコンテンツに加えることが難しい場合があります。
一方、スマホサイトの制作によって、パソコン用とスマホ用のコンテンツを分けて管理・表示することができます。これは、大規模なデータベースを持つサイトや、ユーザーのニーズが異なるサイトにとって、非常に大きなメリットをもたらします。
デバイスごとに最適化された情報を提供することで、ユーザーエクスペリエンスが向上し、SEO評価もアップする可能性があります。
しかしながら、中小企業にとっては、このような複数のコンテンツの管理は必ずしも効果的でない場合もあるでしょう。中小企業が目指すべきは、ユーザー目線のホームページ制作であり、多くの場合、それほど複雑なコンテンツの切り替えは求められません。
結論として、コンテンツの大幅な変更が必要とされるのは、特定の大規模サイトや特定の業界でのみという考えが適切かもしれません。
スマホサイト制作のデメリット
ホームページ制作料金や納期が2倍になる
スマホサイト制作は、今やビジネスの中核となる存在です。ユーザーが日常的にスマートフォンを利用する現代、パソコン版とスマホ版の2つのホームページを持つことは、多くの企業にとって必須の条件となっています。
しかし、この2つのホームページを制作することは、当然ながらコストや時間の観点からも大きな負担となる場合があります。
実際、同じコンテンツと構成のホームページを2つ制作する場合、料金はほぼ2倍と考えるのが妥当です。この料金の増加は、デザインの調整やテスト、修正など、2つのバージョンで行う作業が増えるためです。
また、納期に関しても、単純に2倍とは言えませんが、通常のホームページ制作に比べて1.5倍から1.7倍の時間が必要となることが多いのです。
このようなコストや時間の増加は、初めてホームページ制作を依頼する企業や、予算や納期に制約がある企業にとっては大きなデメリットとなります。
しかし、これらのコストや時間は、ユーザーエクスペリエンスの向上やSEOの効果を考慮すれば、十分に投資する価値があるとも言えるでしょう。
最後に、ホームページ制作の料金や納期について考える際は、それを超えるメリットや将来的なROI(投資対効果)を見据え、総合的な判断を下すことが重要です。
パソコンとスマホサイトで2度の更新が必要
近年、モバイルファーストの時代を迎え、多くのユーザーがスマートフォンをメインの閲覧デバイスとして使用しています。そのため、ホームページ制作において、パソコンだけでなくスマホ向けのサイトも欠かせません。しかし、それには一つ大きな課題が存在します。それは、更新作業を2度行う必要があることです。
ホームページのコンテンツ更新は、企業の新しい情報をユーザーに提供するための重要な活動です。新製品の情報、キャンペーンの詳細、ブログの記事など、定期的に新しいコンテンツを追加・更新することで、ユーザーとの関係を深化させ、SEO対策にも繋がります。
しかし、パソコン版とスマホ版で別々に更新作業を行うことは、ウェブマスターや制作担当者の手間となります。特に、内容が細かく変わる場合や、デザインの修正が伴う場合は、その作業量はさらに増加します。
もちろん、一部の内容はコピー&ペーストで対応できるかもしれませんが、それでも完全に同じ内容、同じデザインであるとは限らず、微調整が必要になるケースも多いのです。
このような状況下で、更新を忘れてしまったり、情報の不整合が生じるリスクも無視できません。
これらの課題は、ホームページ制作を検討する企業や組織にとって、重要な判断基準となるでしょう。スマホサイトの制作は確かに多くのメリットをもたらしますが、運用面での負担をきちんと理解し、適切なリソースを配分することが必要です。ユーザーが最新の情報を確実に得られるよう、両サイトの一貫性を保つことが、信頼を維持する鍵となります。
SEO設定のミスが多い
インターネットの時代において、ホームページの存在感を上げるためには、SEO(検索エンジン最適化)の重要性は非常に高いです。そして、多くのユーザーがスマートフォンを利用してウェブサイトを閲覧する現代において、スマホサイトのSEO対策は不可欠です。
しかしながら、スマホサイト制作におけるSEOの設定は、非常にデリケートな部分が多く、設定ミスが起こりやすいのが実情です。
例えば、302リダイレクトの設定ミスや、ヘッドタグ内の記述不足、canonicalタグの適切な実装といった要素は、検索エンジンの評価に大きな影響を及ぼします。グーグルも公に、多くの企業がスマホサイトのSEO設定でミスを犯しており、結果として低い検索順位に留まっていると指摘しています。
このような状況は、企業のブランドイメージやビジネスへの大きな損失を招くリスクがあります。
制作を進める上で、こうした設定ミスを避けるためには、専門的な知識と経験が必要です。また、SEOの動向は日々変わるため、ウェブマスターは常に最新の情報をキャッチアップし、その変動に柔軟に対応する必要があります。
これにより、スマホサイトの制作と運営は、確かに手間がかかるものとなっていますが、正確な設定を行い続けることで、ユーザーに最適なコンテンツを提供し、長期的なサイトの成長を期待することができるのです。
まとめ
スマホの利用者が増え続ける今日、ホームページ制作においてモバイルフレンドリーなサイト構築は必須となっています。そんな中、スマホサイト制作のメリットとデメリットについて深堀りしました。どちらを選択するかは、それぞれのビジネスやサイトの目的、そしてターゲットとするユーザーによって異なります。
確かに、一般的なコンテンツサイトであれば、レスポンシブWebデザインが現代の標準とも言えるでしょう。これにより、一つのコードベースで多様なデバイスに対応することができ、メンテナンスも一元化されます。
しかし、パソコンとスマホで大きくコンテンツを変えたい、または特定の機能を持たせたい場合など、要件が複雑な大規模なサイトに関しては、専用のスマホサイト制作が適していることもあります。
結局のところ、制作するホームページの目的と内容、そして予算や運用方針に応じて、最適な方法を選択することが肝心です。
今後も、テクノロジーの進化とユーザーのニーズの変化を常にキャッチアップし、時代に合わせた最適なWebサイト制作を心掛けることが、ビジネスの成功への鍵となるでしょう。