ECサイトの売上を伸ばすには、新規の集客だけでなく、客単価を上げる方法もあります。そこで取り入れたいのがクロスセルとアップセルです。制作の手間や予算は大きく変わらないので、ECサイトを制作するなら必ず設計しておきたい仕組みです。ただ、関連商品を並べるだけでは購入につながらず、ユーザーに煩わしさを与えることもあります。
この記事では、ECサイトのクロスセルとアップセルの設計例と、設計するポイントや注意点を解説します。あわせて、必要な商品しか買われないECサイトで、当社がクロスセルとアップセルを設計した事例も紹介します。
ECサイトのクロスセルとアップセルとは
クロスセルとアップセルは、どちらもECサイトで客単価を上げるための販売手法です。Amazonは、クロスセルとアップセルの両方が取り入れられているので、具体的にイメージするときの参考になります。
クロスセルとは
クロスセルとは、ユーザーが購入しようとしている商品に関連する別の商品をあわせて提案する販売手法です。
身近な例では、マクドナルドでハンバーガーを注文したときに「ご一緒にポテトもいかがですか」と声をかけられるのがクロスセルです。ECサイトでは、カメラを購入する人にSDカードやカメラバッグを提案したり、シャンプーを購入する人に同じシリーズのコンディショナーを提案したりする方法がクロスセルにあたります。
ECサイトでは実店舗のように店員が声をかけることができません。そこで、商品ページやカートにクロスセルの提案を表示し、店員のひと言と同じ役割を持たせます。1回の購入で買ってもらう商品の点数が増えるので、客単価を上げられます。
アップセルとは
アップセルとは、ユーザーが購入を検討している商品よりも上位のモデルや容量の多い商品を提案する販売手法です。
家電量販店でエアコンを見ているときに、店員から自動お掃除機能つきの上位機種をすすめられるのが、アップセルの分かりやすい例です。ECサイトでは、128GBのスマートフォンを検討している人に256GBのモデルを提案したり、少量のコーヒー豆を見ている人に大容量パックを提案したりする方法がアップセルにあたります。
購入する商品の点数は変わらなくても、1つの商品の単価が上がるので、客単価を上げられます。ECサイトのアップセルは、ユーザーが求めている商品を選び直してもらうのではなく、同じ商品のもう一段上の選択肢を示す考え方です。
ECサイトでクロスセルとアップセルを設計する理由
ECサイトでクロスセルとアップセルを設計すると、店舗側とユーザー側の両方にメリットがあります。
新規の集客を増やさなくても売上を高められる
ECサイトの売上は、購入するユーザーの数と、1回の購入あたりの金額である客単価で決まります。売上を伸ばそうとすると、多くの企業がまず新規の集客に取り組みます。しかし、集客はどこかで頭打ちになるケースが多くあります。
たとえば、SEO対策に取り組んでも、ある程度までアクセスが増えると、それ以上は増えなくなったという経験がある方は多いと思います。そこでリスティング広告を出しても、中小企業では使える予算に限りがあるので、やはりどこかで頭打ちになります。さまざまな集客方法を試して集客力を最大化しても、いずれ限界が来てしまいます。
そこで大事になるのが、集客だけでなく客単価を上げるという考え方です。クロスセルとアップセルを設計しておけば、今ECサイトで購入しているユーザーの数のままでも客単価を上げられるので、集客が頭打ちになった後でも売上を高められます。
たとえば、客単価が5,000円のECサイトで、10人に1人が1,000円の関連商品をあわせて購入すると、客単価は5,100円になります。1人あたりの差は小さくても、購入件数が増えるほど売上の差は大きくなります。
クロスセルとアップセルは、関連商品の表示やセット割の設定など、ECサイトの機能として組み込めるものが多く、取り組むのはそれほど難しくありません。集客のように費用や労力をかけ続けなくても、一度ECサイトに組み込めば効果が続く点が強みです。
ユーザー満足度を高められる
クロスセルとアップセルは、ユーザーにとってメリットのある提案でもあります。カメラを購入したのにSDカードを買い忘れ、届いてもすぐに使えなかったという経験がある方は多いと思います。購入時に必要な付属品をクロスセルで提案しておけば、こうした買い忘れを防げます。
アップセルでは、容量や機能の違う上位モデルを並べて見せることで、ユーザーが自分に合う商品を選びやすくなります。購入後に、もう少し容量の大きいものにすればよかったと後悔することを減らせます。必要な商品を必要な分だけ購入できれば、ユーザー満足度が高まり、次の購入でも同じECサイトを選んでもらいやすくなります。
ECサイトのクロスセルとアップセルの設計例
ECサイトのクロスセルとアップセルは、表示する場所や見せ方によってさまざまな設計ができます。ここでは、ECサイト制作でよく取り入れる設計例を紹介します。
関連商品を表示する
最も基本的なクロスセルの設計が、関連商品の表示です。ECサイトでは、表示する場所によって見せる商品を変えると、ユーザーの目的に合った提案ができます。
| 表示する場所 | 表示する内容 |
| 商品ページ | この商品と一緒に購入されている商品(例:カメラの商品ページにSDカードや予備のバッテリーを表示) |
| カートページ | カートに入れた商品とあわせて買いたい商品(例:プリンターをカートに入れたらインクや用紙を表示) |
表示する関連商品の選び方には、商品ごとに関連商品を手動で登録する方法と、ほかのユーザーがその商品と一緒に購入した商品のデータから自動で選ぶ方法があります。
手動で登録する方法は、一緒に使う商品を確実に表示できますが、商品数が多いECサイトでは登録の手間がかかります。購入データから自動で選ぶ方法は、登録の手間がかからない一方で、購入データが少ない開店直後のECサイトでは関連性の低い商品が表示されることがあります。
どちらの方法にするかで作り方が変わるので、ECサイト制作の段階で商品数や運営の体制に合わせて決めておく必要があります。
セット商品やまとめ買い割引を用意する
一緒に使う商品を組み合わせたセット商品は、クロスセルを形にした設計です。たとえば、スマートフォンケースと保護フィルムのセットや、シャンプーとコンディショナーのセットを、単品で買うよりも少し安い価格で用意します。ユーザーは別々に商品を探す手間が省け、お得に買えることも分かりやすいので、単品よりも選ばれやすくなります。
同じ商品を複数購入すると割引になるまとめ買い割引では、「2個で5%オフ、3個で10%オフ」のように段階的に割引率を変えると、ユーザーがもう1個追加するきっかけになり、客単価を上げられます。
| 表示する場所 | 表示する内容 |
| 商品ページ | 単品の近くにセット商品があることを表示し、数量を選ぶ場所の近くにまとめ買いの割引率を表示(例:ケースの商品ページに保護フィルムとのセットはこちら!2個で5%オフ、3個で10%オフと表示) |
| カートページ | 単品をカートに入れたときにセット商品への切り替えを案内し、割引までの個数を表示(例:あと1個で10%オフと表示) |
| 特集ページやカテゴリーページ | セット商品をまとめて表示(例:お得なセット商品のカテゴリーを用意) |
セット商品を1つの商品として登録するのか、カートで条件を満たしたときに自動で割引するのかは、ECサイトの仕組みによって対応が変わります。
上位モデルやグレード違いの商品と比較できるようにする
アップセルの代表的な設計が、上位モデルやグレード違いの商品との比較です。容量や機能、価格の違いをまとめた比較表を載せると、ユーザーは上位モデルを選んだときに何が良くなるのかをひと目で判断できます。
容量やサイズ違いの商品を別々の商品ページに分けず、1つの商品ページの中でボタンを押して切り替えられるようにすると、検討中の商品のすぐ隣に上位モデルが並ぶので、自然にアップセルの選択肢を見てもらえます。
| 表示する場所 | 表示する内容 |
| 商品ページ | 上位モデルとの比較表を載せ、容量やグレードをボタンで切り替えられるようにする(例:128GB・256GB・512GBをボタンで選べるようにし、選んだ容量に合わせて価格が変わるように表示) |
| カートページ | カートに入れた商品の上位モデルへの変更を案内(例:あと3,000円で256GBに変更できますと表示) |
容量やグレード違いを1つの商品ページにまとめる場合は、容量ごとに在庫や価格を管理できる仕組みが必要です。ECサイトによっては、容量ごとに別の商品として登録しないと在庫を分けられないこともあります。容量ごとに別の商品として登録するのか、1つの商品の中で容量を選べるようにするのかを最初に決めておくと、商品ページの作り方に迷いません。
保証やギフト包装などのオプションを用意する
本体の商品に追加できるオプションを用意するのは、クロスセルの設計です。家電であれば延長保証、贈り物になる商品であればギフト包装やメッセージカード、名入れができる商品であれば名入れ加工などが当てはまります。オプションが選ばれると1回の購入金額が上がり、ユーザーにとっては、購入後に別で保証を申し込んだり、自分で包装したりする手間が省けます。
| 表示する場所 | 表示する内容 |
| 商品ページ | 購入ボタンの近くにオプションを追加できるチェックボックスを表示(例:3年延長保証を追加する(+2,000円)と表示) |
| カートページ | カートに入れた商品に追加できるオプションを案内(例:ギフト包装を追加しますか?(+300円)と表示) |
メッセージカードや名入れのように、ユーザーに文字を入力してもらうオプションは、入力できる文字数や使える文字を決めておかないと、注文後に確認の連絡が必要になります。
延長保証を外部の保証会社に任せる場合は、注文が入るたびに購入者の名前や商品、購入日などを保証会社に登録する必要があります。手作業で登録するのか、ECサイトから自動で連携するのかを決めておくと、登録漏れを防げます。
定期購入への切り替えを案内する
サプリメントやコーヒー豆、ペットフードなど、継続して使う商品を扱うECサイトでは、定期購入への切り替えを案内するアップセルの設計が効果的です。
1回きりの購入から継続する購入へと、同じ商品のもう一段上の買い方を提案します。1回の購入金額が上がるわけではありませんが、ユーザーが購入を続けてくれることで、長い期間で見た売上が高まります。ユーザーにとっては、なくなるたびに注文する手間がなく、買い忘れも防げます。
| 表示する場所 | 表示する内容 |
| 商品ページ | 通常購入と定期購入を選べるようにし、定期購入の特典を表示(例:定期購入なら毎回10%オフ・送料無料と表示) |
| カートページ | 通常購入でカートに入れた商品に、定期購入への切り替えを案内(例:定期購入に変更すると1,200円お得になりますと表示) |
定期購入では、お届け周期をユーザーが選べるようにするのか、スキップや解約をユーザーがECサイトの中で手続きできるようにするのかを決めておく必要があります。解約の手続きが分かりにくいと、ユーザーの不満につながります。
また、定期購入は特定商取引法で、注文を確定する前の画面に契約期間や支払う金額の合計などを分かりやすく表示することが求められているので、表示する内容まで含めて設計します。
送料無料や特典までの金額を表示する
送料無料や特典までの金額を表示するのは、もう1つ商品を追加してもらうクロスセルの設計です。
「5,000円以上で送料無料」のような条件があるECサイトでは、条件までの差額を表示すると、ユーザーは送料を払うくらいならと商品を追加しやすくなります。送料無料だけでなく、購入金額に応じてノベルティをプレゼントしたり、ポイントの付与率を上げたりする特典を段階的に設ける方法もあり、ユーザーが次の特典を目指して商品を追加するきっかけになります。
| 表示する場所 | 表示する内容 |
| ヘッダーや全ページ共通の場所 | 送料無料や特典の条件を表示(例:5,000円以上で送料無料と表示) |
| カートページ | 条件までの差額と、差額に近い価格の商品を表示(例:あと800円で送料無料になりますと表示し、800円前後の商品を並べる) |
送料無料になる金額は、今の客単価より少し高めに設定すると、もう1つ商品を追加してもらいやすくなります。
客単価よりかなり高い金額にすると、ユーザーが条件を満たすのをあきらめてしまい、追加購入につながりません。差額に近い価格の商品を表示するには、カートの合計金額に合わせて表示する商品を変える仕組みが必要になるので、どの価格帯の商品を出すかもあわせて決めておきます。
購入後に関連商品を案内する
購入が終わった直後に、購入した商品と相性のよい関連商品を案内するのは、次の購入につなげるクロスセルの設計です。
購入直後のユーザーは、ECサイトや商品への関心が高い状態なので、関連商品の案内に目を通してもらいやすくなります。カメラを購入したユーザーに三脚やカメラバッグを案内するように、購入した商品をより便利に使える商品を提案すると、追加の購入につながります。
| 表示する場所 | 表示する内容 |
| 購入完了ページ | 購入した商品と相性のよい関連商品を表示(例:カメラを購入したユーザーに三脚やカメラバッグを表示) |
| 購入後のメール | 注文内容の下に、購入した商品の関連商品を案内(例:ご注文の商品と一緒に使える商品として紹介) |
購入完了ページやサンキューメールから関連商品を追加で購入してもらう場合、別の注文として送料がかかると、ユーザーは追加の購入をためらいます。発送前の追加注文は最初の注文と同梱して送料をかけないようにすると、購入直後の案内が追加の購入につながりやすくなります。
サンキューメールは注文内容を伝えるのが本来の役割なので、関連商品の案内は注文内容の後に控えめに入れることが大切です。
ECサイトのクロスセルとアップセルを設計するポイント
ECサイトのクロスセルとアップセルは、提案する商品や見せ方を間違えると、ユーザーに押し売りのような印象を与えてしまいます。クロスセルもアップセルも、あくまでユーザーの満足度を上げるための提案だという基本を忘れないことが大切です。ここでは、設計するときに押さえておきたいポイントを紹介します。
購入する商品と関連性の高い商品を提案する
クロスセルで提案する商品は、ユーザーが購入しようとしている商品と関連性の高いものを選びます。購入する商品を使うときに必要になる商品や、一緒に使うとより便利になる商品であれば、ユーザーにとって役立つ提案として受け取ってもらえます。
反対に、ショップ側が売りたい商品や在庫を減らしたい商品を、関連性が低いまま提案すると、ユーザーにはただの宣伝に見えてしまいます。提案する商品に迷ったときは、この商品を買った人が次に必要になるものは何かという視点で考えると、ECサイトのクロスセルで提案する商品を選びやすくなります。
アップセルは元の商品との価格差を大きくしすぎない
アップセルで提案する上位モデルは、ユーザーが検討している商品との価格差を大きくしすぎないことが大切です。ユーザーは、ある程度の予算を決めてから商品を探しています。3万円のテレビを検討している人に10万円のモデルを提案しても、予算から大きく外れるので、比較の対象になりません。
アップセルで提案するのは、予算を少し上回る程度で、差額に見合った良さがある上位モデルです。容量が倍になる、保証期間が延びるなど、差額で何が良くなるのかがはっきりしていれば、ユーザーは少し予算を上げてでも上位モデルを選ぶ理由を持てます。
ユーザーが購入を迷うタイミングに合わせて提案する
クロスセルとアップセルは、提案するタイミングによって受け取られ方が変わります。ユーザーが商品を比較して迷っている段階であれば、上位モデルの提案は選ぶための材料になります。購入する商品を決めた段階であれば、一緒に使う商品の提案が役立ちます。
一方で、まだ商品を探し始めたばかりのユーザーに上位モデルや関連商品を次々に見せても、何を選べばよいのか分からなくなってしまいます。ユーザーが今どの段階にいるのかを考え、迷いや不足を感じるタイミングに合わせて提案すると、ECサイトのクロスセルとアップセルが購入の後押しになります。
クロスセルとアップセルを設計するときの注意点
クロスセルとアップセルは、設計の仕方によっては購入の妨げになり、かえって売上を下げてしまうことがあります。ここでは、設計するときに気をつけたい注意点を紹介します。
提案する商品を表示しすぎない
関連商品や上位モデルを提案するときは、表示する商品の数を絞ります。商品ページの下部に関連商品を何十個も並べると、ユーザーはどれを選べばよいのか分からなくなり、結局どれも選ばれません。提案が多すぎると、肝心の商品情報が埋もれてしまうこともあります。
特にスマートフォンでは画面が狭いので、提案する商品が多いとスクロールが長くなり、購入ボタンまでたどり着きにくくなります。クロスセルとアップセルの提案は、ユーザーが一度に見比べられる数点に絞り、本当に役立つ商品だけを表示することが大切です。
購入手続きの流れを妨げないようにする
クロスセルとアップセルの提案が、購入手続きの邪魔になってはいけません。たとえば、カートに商品を入れた瞬間に関連商品のポップアップが大きく表示され、閉じるボタンが分かりにくいと、ユーザーは購入をやめてしまうことがあります。
お届け先や支払い方法を入力する購入手続きページは、ユーザーが購入を決めて手続きを進めている段階です。ここで新しい商品の提案を大きく表示すると、入力の途中で迷いが生まれ、カゴ落ちにつながります。提案はカートページまでにとどめ、購入手続きページではユーザーが入力に集中できるようにします。
在庫切れの商品を提案しない
関連商品や上位モデルとして提案した商品が在庫切れになっていると、ユーザーはがっかりし、ECサイトへの信頼も下がります。提案をクリックして商品ページを開いたのに買えないという体験は、追加の購入につながらないだけでなく、元の商品の購入意欲まで下げてしまいます。
関連商品を商品ごとに手動で登録している場合は、在庫が切れても提案に表示され続けることがあります。在庫切れの商品を提案から自動で外す仕組みにしておくと、ショップ側が在庫を見ながら表示を切り替える手間もかかりません。
割引や特典の表示で誤解を与えない
セット割やまとめ買い割引、送料無料などを表示するときは、ユーザーが実際よりもお得だと誤解しない表示にします。
たとえば、セット割では「単品で買うと合計5,000円のところ、セットなら4,500円」のように、実際の単品価格の合計と比べて表示します。実際には販売していない高い価格を元の価格として表示し、大きく値引きしているように見せると、景品表示法に違反するおそれがあります。
送料無料や定期購入の割引に条件がある場合は、その条件も目立つ場所に表示します。「離島は送料無料の対象外」「割引は初回のみ」といった条件が小さく書かれていたり、別のページにしかなかったりすると、ユーザーは購入後に気づいて不満を持ちます。問い合わせやキャンセルが増える原因にもなります。
必要な商品しか買われないECサイトのクロスセルとアップセルの設計事例
当社の制作実績の中に、ANAとJALの株主優待券だけを販売するECサイトがあります。多くのユーザーに利用され、高い売上を上げているECサイトです。
ANAやJALの株主優待券は、クロスセルが難しい商品です。空港によってはANAかJALのどちらかしか就航していないことがあり、マイルをためているユーザーは同じ航空会社の飛行機に乗り続けます。そのため、ANAの株主優待券を購入するユーザーにJALの株主優待券を提案しても、一緒に購入されることはまずありません。
アップセルも簡単ではありません。ANAやJALの株主優待券は発行時期によって価格が違いますが、有効期限が1年半あるので、多くのユーザーは価格の安い古い株主優待券を選びます。
このように、ANAやJALの株主優待券はクロスセルもアップセルも難しい商品ですが、このECサイトではお客様と相談のうえで、どちらも設計して取り入れています。自社の商品ではクロスセルやアップセルは難しいと考えている方は、この事例を参考に、導入を検討してみてください。
クロスセルの設計
このECサイトでクロスセルを設計した目的は、ユーザーにほかの商品も目にしてもらうことです。一緒に購入してもらうことよりも、このECサイトで何が買えるのかを知ってもらうことを重視しています。
たとえば、いつもANAの株主優待券を購入しているユーザーは、このECサイトをANAの株主優待券を買うECサイトだと認識している可能性があります。JALしか就航していない空港を利用するとき、このECサイトでJALの株主優待券も買えることを知らなければ、別のECサイトで購入してしまうかもしれません。
こうした認識のずれを防ぐために、商品ページや購入完了ページ、メールで、ユーザーが購入していない航空会社の株主優待券を案内しています。その場では購入されなくても、次に別の航空会社の株主優待券が必要になったときに、このECサイトで購入してもらえる可能性が高まります。
アップセルの設計
株主優待券は、発行されたばかりの時期が最も価格が高く、市場に出回る在庫も豊富です。ただ、古い株主優待券と新しい株主優待券は使う上での違いがありません。株主優待券は購入してすぐに使うことが多いので、有効期限の長い新しい株主優待券を選ぶ理由もなく、古い株主優待券の在庫があるうちは、新しい株主優待券はなかなか選ばれません。
問題になるのが、古い株主優待券の在庫が少なくなったときです。このECサイトでは在庫切れを絶対に起こさないようにしています。ただ、在庫の量だけでユーザーの購入を新しい株主優待券へ移すのは難しいです。そこで、古い株主優待券を在庫切れにするのではなく、在庫が切れそうなタイミングに限りアップセルを行い、新しい株主優待券へ購入を移してもらっています。
具体的には、価格の高い新しい株主優待券のポイント付与率を上げています。ポイント付与率は、古い株主優待券との価格差をもとに設定し、ポイントを含めると、新しい株主優待券が古い株主優待券より少し高いくらいになるよう調整しています。価格差がほとんど気にならなくなるので、ユーザーにとって新しい株主優待券を選ぶ理由ができます。
実際に、ポイント付与率を上げると、多くのユーザーが単価の高い新しい株主優待券を購入しています。売上を上げることを狙ったアップセルというより、在庫管理の一環としてアップセルの考え方を取り入れた設計です。
まとめ
ECサイトの集客は、SEO対策でもリスティング広告でもどこかで頭打ちになります。だからこそ、客単価を上げるクロスセルとアップセルを、ECサイト制作の段階から設計しておくことが大切です。株主優待券のECサイトの事例のように、クロスセルやアップセルが難しい商品でも、目的を変えれば取り入れられます。
当社では、新しくECサイトを制作するときはもちろん、今のECサイトにクロスセルやアップセルの仕組みがない場合も、商品の特徴や在庫の状況に合わせて、どこに何を表示するかから設計します。自社の商品では難しいと感じている場合も、株主優待券のECサイトのように目的を変えた使い方まで含めて提案します。
これからECサイトの制作やリニューアルを検討していて、集客だけでなく客単価も上げたい場合は、お気軽にご相談ください。ヒアリングした内容をもとに、クロスセルとアップセルの設計まで含めたECサイト制作をご提案します。
