ECサイトの売上が月によって大きく変わり、広告費をかけても安定しないと悩むネットショップは少なくありません。一度きりの購入で終わるお客様が多いことが、売上が安定しない原因の1つです。
この記事では、定期購入でECサイトの売上が安定する理由と向いている商品、導入方法、機能で決めておくことを解説し、当社がECサイトに導入した定期購入の効果も紹介します。
定期購入でECサイトの売上が安定する理由
定期購入は、一度申し込んだお客様に決まった周期で商品を届け続ける仕組みです。ECサイトに定期購入を取り入れると、毎月の売上の作り方が大きく変わります。
毎月の売上を予測しやすくなる
通常のECサイトでは、毎月の売上はその月にどれだけ注文が入るかで決まり、月末になるまで分かりません。定期購入では、申し込んでいるお客様の人数と商品の金額から、翌月以降の売上をある程度見込めます。たとえば1回3,000円の商品を100人が毎月定期購入していれば、それだけで月30万円の売上が見込めます。
売上を予測できると、商品の仕入れや在庫の量、広告にかける費用を前もって決めやすくなります。在庫を抱えすぎたり、品切れでお客様を逃したりすることが減り、ECサイトの運営そのものが安定します。
新規の集客に頼らず売上を作れる
定期購入がないECサイトでも、会員登録しているお客様やリピーターから再び注文が入ることはあります。ただ、次にいつ購入してもらえるかはお客様次第で、その月に注文が入るとは限りません。売上を保つには新しいお客様の集客に頼ることになり、検索順位が下がったり広告の効果が落ちたりすると、その月の売上がすぐに落ち込みます。
定期購入では、申し込んだお客様の次回の注文が決まっているので、新規の集客が少ない月でも売上の土台が残ります。広告費をかけて集めたお客様が1回の購入で終わらず、2回目、3回目と購入を続けることで、集客にかけた費用も回収しやすくなります。
他のネットショップへの乗り換えを防げる
消耗品をECサイトで買うお客様は、商品がなくなるたびにネットで探し直すことが多く、そのときに安いネットショップやポイントの多いモールを見つけると、そちらに移ってしまいます。
定期購入では、商品がなくなる前に自動で届くので、お客様が他のネットショップを探すきっかけそのものが減ります。毎回注文する手間がかからないことや、定期購入の割引があることも、続けて購入してもらう理由になります。同じお客様に長く購入してもらえるほど、ECサイトの売上は月ごとの変動が小さくなります。
定期購入に向いている商品と向いていない商品
定期購入は、どの商品でもECサイトの売上が安定するわけではありません。商品の使われ方によって、定期購入に向いているかどうかが分かれます。
食品や日用品など使ってなくなる商品は向いている
お米や水、コーヒー豆、洗剤、トイレットペーパーなど、毎日使ってなくなる商品は定期購入に向いています。家族の人数や使う量が大きく変わらなければ、なくなるまでの期間がほぼ一定なので、お届けの周期を決めやすい商品です。
お客様にとっては、重い商品やかさばる商品を買いに行く手間がなくなり、買い忘れて切らす心配もなくなります。定期購入で届くことに便利さを感じてもらえるので、解約されにくく、長く続けてもらえます。
化粧品やサプリメントなど続けて使う商品は向いている
化粧品やサプリメント、健康食品など、毎日続けて使うことで効果を実感する商品は定期購入に向いています。お客様は使い続けること自体を目的に購入しているので、決まった周期で届く定期購入の仕組みと考え方が合っています。1回分の使用量が決まっていて、1か月分などの単位で商品を用意しやすく、お届けの周期も設定しやすい商品です。
化粧品やサプリメントのECサイトでは、初回の割引などで定期購入を始めてもらい、続けて使ってもらう売り方が多く使われています。
家具や家電など買い替えまでの期間が長い商品は向いていない
家具や家電、寝具など、一度買うと数年は使い続ける商品は定期購入に向いていません。次に買い替えるまでの期間が長く、時期もお客様によって大きく違うので、決まった周期で届ける仕組みが合いません。
ただし家電の場合、フィルターや交換用の部品、専用の洗剤など、本体と一緒に使う消耗品は定期購入に向いています。家具や家電を扱うECサイトで定期購入を取り入れるなら、本体ではなく消耗品を対象にする方法があります。
アパレルや雑貨など季節や好みで選ぶ商品は向いていない
洋服や靴、雑貨など、季節や流行、お客様の好みで選ぶ商品は定期購入に向いていません。お客様は毎回デザインやサイズを見比べて選んでいるので、同じ商品が決まった周期で届いても必要とされません。季節によって売れる商品が変わり、同じ商品を届け続ける定期購入の形では続けてもらえません。
アパレルや雑貨のECサイトでは、定期購入よりも、新商品のお知らせや会員向けのクーポンで再購入してもらう方法が合っています。
ECサイトに定期購入機能を導入する方法
ECサイトに定期購入機能を導入する方法は、今のECサイトをどの仕組みで作っているかによって変わります。これからECサイトを制作する場合は、定期購入をどこまで重視するかで仕組みを選びます。
ShopifyやBASEにアプリを追加する
ShopifyやBASEでECサイトを運営している場合は、定期購入のアプリを追加することで定期購入機能を導入できます。
Shopifyには公式の定期購入アプリのほか、外部の会社が提供している定期購入アプリがあり、BASEには定期便のAppが用意されています。今のECサイトの商品や会員の情報をそのまま使えるので、作り直さずに定期購入を始められる方法です。
ただし、アプリでできることはアプリの機能の範囲に限られます。お届けの周期の選び方や割引の付け方、お客様が自分でお届け日を変更できるかなどはアプリによって違うので、導入する前に、自社で決めたい定期購入の内容に対応しているかを確かめる必要があります。
有料のアプリは月額の利用料がかかり、ECサイトの利用料とは別に費用が増えます。
定期購入に対応したカートシステムを使う
ecforceや侍カートなど、最初から定期購入機能が標準で付いているカートシステムを使う方法です。定期購入での販売を前提に作られているので、お届けの周期や回数ごとの割引、解約を防ぐための仕組み、定期購入の売上や継続率の分析など、定期購入の運営に必要な機能がそろっています。
その分、月額の利用料は一般的なカートシステムより高くなることが多く、売上に応じた手数料がかかるものもあります。化粧品やサプリメントなど、定期購入が売上の中心になるECサイトに向いている方法です。今のECサイトを別の仕組みで作っている場合は、カートシステムの乗り換えが必要になります。
WordPressのECサイトにプラグインで追加する
WordPressでECサイトを作っている場合は、プラグインで定期購入機能を追加できます。
国内のECサイトで使われているWelcartには「WCEX Auto Delivery」、海外で広く使われているWooCommerceには「WooCommerce Subscriptions」という、定期購入用の有料の拡張プラグインがあります。カートシステムのように月額の利用料や売上に応じた手数料がかからず、デザインや機能を自社に合わせて作り込みやすい方法です。
一方で、WordPress本体やプラグインの更新、セキュリティ対策は自社か制作会社で対応する必要があります。また、定期購入で使える決済代行サービスはプラグインごとに決まっていて、今使っている決済のままでは定期購入の決済ができない場合があります。導入する前に、今の決済代行サービスが定期購入に対応しているかを確かめておく必要があります。
ECサイトに独自に開発して組み込む
お届けのたびに商品の内容を変えたい、社内の受注や在庫のシステムと連携させたいなど、アプリやプラグインでは対応できない定期購入の内容がある場合は、ECサイトに定期購入機能を独自に開発して組み込みます。自社の売り方に合わせて機能を自由に作れることが、独自開発の一番のメリットです。
ただし、開発の費用と期間はほかの方法より大きくかかり、公開した後も不具合の修正や機能の改修を続ける必要があります。多くのECサイトでは、まずアプリやプラグイン、カートシステムで定期購入を始め、それでは足りない部分が出てから独自開発を考える進め方が現実的です。
定期購入機能で決めておくこと
定期購入機能は、内容を決めておかないとECサイトに設定できません。決めた内容は、商品ページや注文の画面に載せてお客様に伝えます。
お届けの周期と回数
お届けの周期は、商品がなくなるまでの期間に合わせて決めます。
1か月で使い切る商品なら毎月、2か月で使い切る商品なら2か月ごとが基本です。ただ、使う量はお客様によって違うので、毎月・2か月ごと・3か月ごとのように複数の周期から選べるようにすると、商品が余ったり足りなくなったりして解約されることを防げます。30日ごとのように日数で届けるか、毎月決まった日に届けるかも決めておきます。
回数は、いつでも解約できる形にするか、最低何回かは続けてもらう形にするかを決めます。最低回数を決めると売上の見込みは立てやすくなりますが、お客様にとっては申し込みのハードルが上がります。
定期購入の回数や支払いの総額などの条件は、特定商取引法で注文の最終確認画面に表示することが求められているので、ECサイトの画面でどう表示するかも合わせて決めます。
定期購入の割引や特典
定期購入を選んでもらうには、通常の購入よりお得だと感じてもらえる理由が必要です。定期購入では、毎回の割引、初回だけの割引、送料無料、続けた回数に応じたプレゼントなどの割引や特典がよく使われます。
割引を大きくしすぎると、売上が安定しても利益が残りません。初回だけを大きく割り引くと申し込みは増えますが、1回で解約するお客様も増えます。商品の利益から、何回続けてもらえば利益が出るかを計算したうえで、割引や特典の内容を決める必要があります。
お届け日の変更や次回分を休むときの対応
定期購入を続けていると、商品が余っている、旅行で受け取れないなど、次回のお届けを変えたいお客様が出てきます。お届け日の変更や次回分を休むことができないと、お客様は解約を選んでしまいます。
決めておくのは、お届け日の変更や次回分を休むことをお客様がマイページで自分でできるようにするか、問い合わせで受け付けるかと、お届けの何日前まで受け付けるかです。問い合わせで受け付けると対応の手間が増えるので、マイページで変更できる形が便利です。マイページで変更できるかどうかは、定期購入のアプリやプラグインによって違います。
解約の方法と条件
解約は、マイページ、問い合わせフォーム、電話など、どこで受け付けるかと、次回のお届けの何日前まで受け付けるかを決めます。最低回数を決めている場合は、その回数より前に解約するときの扱いも決めておく必要があります。
解約の方法と条件は、特定商取引法で注文の最終確認画面に表示することが求められています。解約しにくい仕組みにすると、お客様とのトラブルや悪い口コミにつながり、ECサイトの信頼を下げます。解約の手続きの途中で、次回分を休む方法や周期の変更を案内すると、解約を考えているお客様に続けてもらえることがあります。
当社がECサイトに導入した定期購入の効果
当社では、かつらメーカーのECサイトに定期購入機能を導入しました。かつらは一度購入すると長く使う商品で、頻繁に買い替えるものではないので、かつら本体は定期購入に向いていません。そこで、かつらの手入れに使うスプレーなどのアフター用品に絞って、定期購入できるようにしました。
導入後は、かつらを購入するときに、アフター用品の定期購入を合わせて申し込むお客様が多くなりました。アフター用品はかつらを使い続ける限り必要になる商品で、なくなるたびに注文する手間がなくなることがお客様に選ばれています。
売上が飛躍的に上がったわけではありませんが、お客様の満足度を高める対策になっていると、かつらメーカー様に喜んでいただいています。
現在は、株主優待券を販売するECサイトにも定期購入を提案しています。
このECサイトには、株主優待券を毎回購入している法人のお客様がいます。個人向けではなく法人向けのサービスとして定期購入を勧めることで、法人のお客様は毎回注文する手間がなくなり、必要な時期に株主優待券が届くようになります。
売上の安定はもちろん、お客様の満足度を高めて、より長く利用していただく方法として導入を検討しています。
まとめ
定期購入は、売上を一気に増やす方法ではなく、続けて使う商品を決まった周期で届けることで、毎月の売上の土台を作る仕組みです。商品の使われ方に合わせて、定期購入にする商品と機能の内容を決めることが、ECサイトの売上を安定させることにつながります。
当社では、ECサイトの制作やリニューアルのご依頼を受けると、扱っている商品や今の売り方をヒアリングします。そのうえで、定期購入に向いている商品があるか、どの仕組みで導入するかを考えて提案しています。
本体が定期購入に向かない商品でも、続けて使う消耗品などから定期購入できる商品を探します。新規の集客だけに頼らず、毎月の売上の土台があるECサイトに仕上げます。
ECサイトの売上が月によって安定しない、今のECサイトに定期購入を入れられるか分からないといったお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。
