不動産会社のホームページは物件情報に力を入れがちですが、同じ物件はポータルサイトや他社のホームページにも載っています。物件情報だけで選ばれるのは難しく、そこで役立つのが地域の暮らしを伝えるエリア紹介ページです。ただし、地域の情報を並べるだけでは成果につながらず、載せる情報と構成を考えて作る必要があります。
この記事では、不動産会社のホームページに作るエリア紹介ページについて、必要な理由、載せる情報、構成の考え方、物件情報への導線の考え方を解説します。当社が制作したエリア紹介ページで、エリア名を含むSEOの集客力が高まった事例も紹介します。
不動産会社のホームページに作るエリア紹介ページとは
エリア紹介ページとは、不動産会社が取り扱う物件のある地域について、その街での暮らしの様子を伝えるページです。街紹介ページや地域情報ページと呼ばれることもあり、駅や町など地域ごとに1ページずつ作るのが一般的です。
物件ページが1つの部屋や建物の条件を伝えるページなのに対して、エリア紹介ページは物件の周りに広がる街全体を伝えるページです。不動産会社のホームページの中では、物件を選ぶ前に住む地域を考えているユーザーが最初に読むページという位置づけになります。
不動産会社のホームページにエリア紹介ページが必要な理由

エリア紹介ページは、物件情報だけでは伝えきれない部分を補い、不動産会社のホームページがユーザーに選ばれるために役立ちます。主な理由は次の4つです。
物件情報だけでは他社のホームページと差がつかない
不動産会社が扱う物件の多くは、レインズなどの仕組みで同業者に共有され、ポータルサイトや複数の不動産会社のホームページに同じ内容で掲載されています。間取りや家賃、写真まで同じであれば、ユーザーはどの不動産会社のホームページで見ても違いを感じません。
エリア紹介ページは、不動産会社ごとに中身が変わるページです。どの地域を取り上げ、何を伝えるかは会社の考え方や地域との関わり方で決まるので、同じ物件を扱っていても他社のホームページとの違いを出せます。
その地域を知らない人が住むイメージを持てる
転勤や進学、結婚などで初めての地域に住む人は、物件の条件を見ても、その街での暮らしを思い浮かべられません。駅から部屋までの道のりや、近くで買い物ができるかどうかが分からないまま物件を決めるのは、ユーザーにとって大きな不安です。
エリア紹介ページで街の雰囲気や暮らしに必要な施設を伝えれば、知らない地域でも住んだ後の生活をイメージできます。住むイメージが持てれば、その地域の物件を前向きに検討しやすくなります。
地域名で検索する人の受け皿になる
物件を探すユーザーは、最初から物件名や不動産会社の名前で検索するわけではありません。住む地域を考えている段階では、地域名に住みやすさや治安などの言葉を組み合わせて検索エンジンで調べます。
物件ページは物件の条件が中心なので、こうした地域名のキーワードで検索結果に出ることは多くありません。エリア紹介ページは、地域名を含むキーワードでSEOに取り組むときの中心になるページで、地域名で検索するユーザーを不動産会社のホームページに迎え入れる受け皿になります。
地域に詳しい不動産会社だと信頼される
住まい探しは金額が大きく、その後の生活を長く左右するので、ユーザーは不動産会社がどれだけ地域を知っているかを気にします。エリア紹介ページで、実際に街を歩いて分かることや、案内のときによく聞かれることを伝えれば、地域に詳しい不動産会社だと伝わります。
インターネットで調べれば分かる情報だけでなく、地元の不動産会社だから知っている情報が載っていると、ユーザーはこの会社に相談すれば地域のことも教えてもらえると感じます。その信頼が、物件の問い合わせ先として選ばれるきっかけになります。
エリア紹介ページに載せる情報
エリア紹介ページに載せる主な情報と、書くときの注意点は次のとおりです。
| 街の概要と雰囲気 | どんな人が多く住んでいるか、街の雰囲気、主な駅や路線。人口などの数字は出典が確かなものだけを使う。 |
| 交通アクセス | 主要な駅までの所要時間、バスの本数、自転車での移動のしやすさ。所要時間は目安と明記する。 |
| スーパーや病院など暮らしに必要な施設 | スーパーやドラッグストア、商店街、病院、飲食店の特徴。閉店や移転がないか掲載前に確認する。 |
| 学校や公園など子育ての環境 | 保育園や学校の場所、公園、小児科の有無。学区や制度は変わることがあるので断定しない。 |
| ハザードマップや治安などの安全面 | ハザードマップの確認先、夜道の明るさ、交番の場所。主観で危険と書かず、自治体の情報で伝える。 |
| 家賃や価格の傾向 | 間取りごとの家賃や価格の目安。自社の取り扱い実績にもとづく範囲で目安として書く。 |
| 地元の不動産会社だから知っている街の様子 | 案内のときによく聞かれること、あまり知られていない街の良さ。他社と差がつく項目なので必ず入れる。 |
表の中で特に力を入れたいのは、地元の不動産会社だから知っている街の様子です。交通や施設、相場の情報は、地図サービスやポータルサイトでも調べられます。一方で、坂道が多く自転車での移動は大変、駅の反対側の出口は夜も人通りが多いといった情報は、実際に街を案内している不動産会社でなければ書けません。
また、家賃や価格の傾向、お店や施設の情報は時間がたつと変わります。エリア紹介ページは頻繁に書き換えるページではありませんが、古い情報が残っていると、かえって地域に詳しくない会社に見えてしまいます。年に1回など時期を決めて見直すと、正しい情報を保てます。
エリア紹介ページの構成の考え方

エリア紹介ページは、載せる情報が同じでも、ページの分け方や情報の並べ方でユーザーの使いやすさが変わります。構成を考えるときのポイントは次の3つです。
ユーザーの探し方に合わせてエリアを分け1ページずつ作る
エリア紹介ページを作るときは、まず地域をどの単位で分けるかを決めます。
市区町村で分けるか、駅で分けるか、町名や学区で分けるかは、その地域でユーザーがどう住まいを探しているかに合わせます。電車で通勤する人が多い地域なら駅ごと、車での移動が中心の地域なら町ごと、ファミリー層が多い地域なら学区ごとに分けると、ユーザーが自分に関係のあるページを見つけやすくなります。
分けたエリアは、1つのエリアにつき1ページずつ作ります。複数の地域を1ページに詰め込むと、どの地域のページなのかがユーザーにも検索エンジンにも伝わりにくくなります。1ページで1つのエリアを扱えば、ページの内容とエリア名がはっきり結びつき、地域名で検索するユーザーにも見つけてもらいやすくなります。
ただし、分け方を細かくしすぎると1ページに書ける内容が少なくなるので、十分な情報を載せられる広さで区切ることが大切です。
ユーザーが知りたい順に情報を並べる
エリア紹介ページを開いたユーザーは、まずどんな街なのかを知りたいと考えます。
そのため、街の概要と雰囲気を最初に置き、交通アクセスや暮らしに必要な施設、子育ての環境、安全面、家賃や価格の傾向と、生活をイメージするうえで気になる順に並べていきます。
並べる順番は、そのエリアに住む人に合わせて変えても構いません。ファミリー層に人気のエリアなら子育ての環境を前に出し、単身者が多いエリアなら交通アクセスや飲食店の情報を前に出します。不動産会社のホームページはスマートフォンで見られることが多く、知りたい情報がページの下のほうにあると、たどり着く前にユーザーが離れてしまいます。
ユーザーが知りたい情報を上に置くことで、最後まで読んでもらいやすい構成になります。
地名だけを変えた似たページを作らない
エリア紹介ページを増やそうとすると、ひな形の文章に地名だけを入れ替えたページを量産してしまうことがあります。このようなページは、ユーザーが読み比べてもエリアごとの違いが分からず、街を知る役に立ちません。
検索エンジンの評価にも悪い影響があります。Googleのスパムに関するポリシーでは、地域名だけを変えた似たページを検索結果に表示させる目的で作ることを、誘導ページとして問題視しています。ひな形は項目の並びをそろえるために使い、中身はエリアごとに書き分けます。
まだ十分な情報を書けないエリアは無理にページを作らず、内容がそろってから公開するほうが、不動産会社のサイト全体の評価を守れます。
エリア紹介ページから物件情報への導線の考え方

エリア紹介ページで地域に興味を持ったユーザーを、物件探しへ進めるには導線の設計が欠かせません。物件情報への導線を考えるときのポイントは次の5つです。
ページの最後にそのエリアの物件一覧へのリンクを置く
エリア紹介ページを最後まで読んだユーザーは、その地域に住むことを前向きに考え始めています。ここで物件情報へのリンクがないと、ユーザーはページを閉じるか、ポータルサイトで同じ地域の物件を探し始めてしまいます。ページの最後には、そのエリアの物件一覧へ進めるリンクを必ず置きます。
リンク先は物件検索のトップページではなく、そのエリアで絞り込んだ物件一覧にします。検索条件を入れ直す手間がなくなり、読んでいた地域の物件をすぐに見られます。リンクの文言にも、○○駅周辺の物件一覧のようにエリア名を入れると、押した先に何があるかが伝わります。
本文の話題に合う物件へのリンクを途中にも置く
物件情報へのリンクはページの最後だけでなく、本文の話題に合わせて途中にも置けます。駅までの近さを紹介した段落の後に駅から徒歩5分以内の物件、子育ての環境を紹介した段落の後にファミリー向けの間取りの物件というように、その話題で興味を持ったユーザーに合う物件を案内します。
ただし、すべての段落にリンクを置くと、ユーザーには物件を売り込まれているように感じられます。エリア紹介ページは街を知ってもらうページなので、リンクは話題の流れで自然に物件を見たくなる箇所に絞ります。
物件ページからもエリア紹介ページへ進めるようにする
導線はエリア紹介ページから物件情報への一方向だけではありません。ポータルサイトや検索エンジンから物件ページにたどり着いたユーザーは、物件の条件は分かっても、その地域のことを知らないままです。物件ページの周辺環境の欄などに、その物件があるエリアの紹介ページへのリンクを置けば、物件を気に入ったユーザーが街のことも確かめられます。
ホームページ制作の段階で、物件を登録するときにエリアを選ぶと、物件ページに該当するエリア紹介ページへのリンクが自動で表示される仕組みにしておくと、物件が増えても手間をかけずに導線を保てます。
物件がないときは問い合わせにつなげる
エリア紹介ページは、紹介しているエリアに空き物件がない時期でも読まれます。そのときに物件一覧へのリンク先が0件のページだと、ユーザーはそこで探すのをやめてしまいます。
物件がない時期は、物件一覧へのリンクに加えて、希望条件を伝えられる問い合わせへの導線を用意します。不動産会社には、ホームページに載せていない物件や、これから空きが出る物件の情報があります。物件が出たときに連絡がもらえると分かれば、ユーザーはその場で問い合わせやすくなります。
成約済みの物件へのリンクを残さない
本文の途中に個別の物件へのリンクを置いた場合、その物件が成約した後もリンクが残っていると、ユーザーは興味を持って開いた物件が契約済みだと知ることになります。期待した分だけがっかりさせてしまい、情報を管理していない不動産会社という印象を与えます。
個別の物件へのリンクは、成約したら外すか別の物件に差し替えます。手作業での確認が難しい場合は、個別の物件ではなく、条件で絞り込んだ物件一覧へリンクする形にしておくと、成約した物件が自動で一覧から外れるので、成約済みの物件へのリンクが残る心配がありません。
当社が制作した不動産会社のエリア紹介ページの効果
当社が制作した不動産会社のホームページでは、エリア紹介ページを公開しても成約数が一気に増えることはありませんでした。一方で、大きく高まったのはエリア名を含むキーワードでのSEOの集客力です。
作成したエリア紹介ページごとに、エリア名を含むさまざまなキーワードで検索エンジンからのアクセスがありました。物件情報のページだけでは集められなかった、会社名を知らないユーザーにホームページを見つけてもらえるようになりました。
Googleアナリティクスでエンゲージメントを見ると、エリア紹介ページごとに差がありました。すべてのページが同じように読まれたわけではありませんが、エンゲージメントの高いエリア紹介ページは成果に大きく貢献していたと考えています。
エリア名を含むキーワードでアクセスが集まるようになったことで、どのエリアに関心を持つユーザーが多いのか、どのエリア紹介ページがよく読まれているのかを、エリアごとに確認できるようになりました。
エンゲージメントの低いページは載せる情報や並べ方を見直し、アクセスの多いエリアは物件情報への導線を強化するなど、エリアごとに次の対策を決めやすくなったことが、エリア紹介ページを作った大きな効果です。
まとめ
エリア紹介ページは、物件のある地域での暮らしを伝え、物件情報だけでは他社のホームページと差がつかない不動産会社のホームページに独自の中身を加えるページです。その地域を知らないユーザーが住むイメージを持てるだけでなく、地域名で検索するユーザーの受け皿になり、地域に詳しい不動産会社だという信頼につながります。
エリア紹介ページを作るときは、街の概要や交通アクセスなどの情報に加えて、地元の不動産会社だから知っている街の様子を必ず載せます。構成は、ユーザーの探し方に合わせてエリアを分けて1ページずつ作り、ユーザーが知りたい順に情報を並べることが基本です。地名だけを変えた似たページは作らず、ページの最後や本文の途中から物件情報へ進める導線を用意します。
当社が制作した不動産会社のホームページでも、エリア紹介ページによってエリア名を含むキーワードでのSEOの集客力が高まりました。成約数がすぐに増えるページではありませんが、エリア名で検索するユーザーを集め、物件探しへ進んでもらう入口として長く役立つページです。
