Webサーバーとメールサーバーを分けるべきか、同じサーバーのまま運用すべきか、迷っている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、Webサーバーとメールサーバーを分けるメリット・デメリットや具体的な手順をまとめています。同一ドメインで運用する際に起きやすいトラブルへの対処法も紹介していますので、サーバー構成を見直す際の参考にしてください。
Webサーバーとメールサーバーの違い

Webサーバーとメールサーバーは、どちらもホームページの運用に必要なサーバーですが、役割がまったく異なります。
Webサーバーは、ホームページのデータを保管し、ユーザーがアクセスした際にページを表示させる役割を担っています。一方のメールサーバーは、メールの送受信を管理するサーバーです。問い合わせフォームからの通知や、日常の業務メールのやり取りは、メールサーバーを通じて行われています。
多くのレンタルサーバーでは、1つの契約でWebサーバーとメールサーバーの両方が利用できるため、意識せずに同じ環境で運用しているケースが大半です。しかし、両者の役割が異なる以上、分けて運用することで得られるメリットもあります。
Webサーバーとメールサーバーを分けるメリット

Webサーバーとメールサーバーを分けて運用することで、セキュリティや安定性の面でいくつかのメリットがあります。ここでは、代表的な3つのメリットを紹介します。
セキュリティリスクを分散できる
Webサーバーは常に外部からアクセスされるため、攻撃の対象になりやすい特徴があります。特にWordPressなどのCMSを利用している場合、脆弱性を狙われてサーバーが不正利用されるケースも珍しくありません。
もしWebサーバーとメールサーバーが同じ環境にあると、Webサーバーが攻撃を受けた際にメールサーバーにまで被害が及ぶ可能性があります。たとえば、迷惑メールの送信元として悪用されたり、メールデータが漏洩するリスクも考えられます。
サーバーを分けておけば、Web側にトラブルが起きてもメールの送受信には影響が出にくくなり、被害の範囲を限定できます。
サーバーの負荷を分散できる
Webサーバーとメールサーバーを同じ環境で稼働させていると、それぞれの処理がサーバーのリソースを取り合う形になります。たとえば、ホームページへのアクセスが集中した時にメールの送受信が遅れたり、その逆が起きることもあります。
サーバーを分離すれば、Webサーバーはホームページの表示に、メールサーバーは送受信にそれぞれ専念できるため、両方の動作が安定します。アクセス数が増えてきたホームページを運用している場合や、業務で大量のメールを扱う場合には、負荷の分散による効果を実感しやすくなります。
ホームページのリニューアル時にメールへの影響がない
ホームページのリニューアルでサーバーを移行する場合、同じ環境でメールも運用していると、メールアカウントの再設定やデータの移行が必要になります。社内で複数のメールアドレスを使っていると、全員分の設定変更が必要になり、作業負担が大きくなりがちです。
Webサーバーとメールサーバーを分けておけば、サイト側のサーバーだけを切り替えればよく、メール環境に一切手を加える必要がありません。サーバー変更を伴うリニューアルのたびにメールの移行で手間がかかるのを避けたい場合は、あらかじめメールサーバーを分けておくと安心です。
Webサーバーとメールサーバーを分けるデメリット

メリットがある一方で、Webサーバーとメールサーバーを分けることにはデメリットも存在します。事前に把握しておきたい3つの注意点を紹介します。
コストが増える
Webサーバーとメールサーバーをそれぞれ別に契約する場合、その分の月額料金が発生します。さらに、SSL証明書やバックアップなどのオプションを個別に付ける必要があるケースもあり、トータルの費用は高くなりがちです。ただし、メール専用のサーバーはサイト用のサーバーに比べて安価なプランが多く、月額数百円程度で利用できるサービスもあります。
セキュリティや安定性のメリットと比較して、費用に見合うかどうかで判断するのが現実的です。
管理の手間が増える
サーバーを分けると、Webとメールそれぞれの管理画面で個別に設定や更新を行う必要があります。たとえば、DNSレコードの管理やSSL証明書の更新など、1つのサーバーで完結していた作業が分散するため、一元管理に比べると手間がかかります。
社内にサーバー管理の担当者がいない場合や、技術的な対応に不安がある場合は、制作会社やサーバー会社のサポートを活用できるかどうかを事前に確認しておくと安心です。
同一ドメインだとフォームからのメールが届かない
Webサーバーとメールサーバーを分けた状態で、ホームページの問い合わせフォームから同一ドメインのメールアドレス宛に通知メールを送ると、メールが届かないことがあります。
これは、Webサーバーが送信先のドメインを自分のサーバー内にあると判断し、外部のメールサーバーへ送らずに内部で処理してしまうことが原因です。普段のメーラーでの送受信には影響はなく、あくまでWebサーバー上のフォームから同じドメイン宛にメールを送る時だけ発生する問題です。
同一ドメインでWebサーバーとメールサーバーを分ける手順

Webサーバーとメールサーバーを分けるには、いくつかの作業が必要になります。ここでは、同一ドメインのまま分離するための手順を順を追って紹介します。
STEP1. メールサーバーを契約する
まずは、Webサーバーとは別にメール専用のサーバーを用意します。
レンタルサーバーのメール専用プランや、Google Workspaceなどのクラウドサービスが選択肢になります。選定時には、ウイルス対策やスパムフィルターの有無、SSL対応など、セキュリティ面の機能を確認しておくことが大切です。
また、利用するメールアカウント数や容量が自社の運用に合っているかもあわせてチェックしておくと、契約後のトラブルを防げます。
STEP2. メールアカウントを作成する
メールサーバーの契約が完了したら、必要なメールアカウントを新しいサーバー上に作成します。
既存のメールアドレスをそのまま使う場合でも、新しいサーバー側で同じアドレスを改めて発行する作業が必要です。また、既存のメールデータを引き継ぐ場合は、事前にバックアップを取っておくことが重要です。移行中にデータが消失するリスクがあるため、切り替え前の準備を慎重に行いましょう。
STEP3. DNSを設定する
メールサーバーを分けるうえで最も重要な作業が、DNSレコードの設定変更です。
具体的には、ドメインのMXレコードを新しいメールサーバーの情報に書き換えることで、メールの届け先を正しく切り替えます。Aレコードは従来のWebサーバーのまま変更しません。この設定を誤ると、メールが届かなくなったりホームページが表示されなくなる可能性があるため、慎重に対応する必要があります。
自社での対応が難しい場合は、制作会社やサーバー会社に依頼するのが安心です。
STEP4. 動作確認を行う
DNS設定が反映されたら、新しいメールサーバーで送受信が正常に行えるかをテストします。
送信テストと受信テストの両方を行い、問題がなければ旧サーバー側のメール機能を停止します。DNSの反映には数時間から最大で数日かかることがあるため、切り替え直後はしばらく新旧どちらのサーバーにもメールが届く可能性があります。
完全に切り替わったことを確認するまでは、旧サーバーのメールも定期的にチェックしておきましょう。
フォームからのメールが届かない時はGmailを活用する

前述の手順でWebサーバーとメールサーバーを分けたものの、DNSの設定が難しく自社での対応に不安がある場合は、Gmailを活用した方法が手軽です。
フォームのメール送信先をGmailのメールアドレスに変更し、そこから独自ドメインのアドレスへ自動転送すれば、問題を回避できます。送信先が外部のアドレスになるため、内部処理の問題が発生しません。転送先を普段使っているメールアドレスにしておけば、いつも通りのメーラーで通知を確認でき、運用を変える必要もありません。
なお、フォームからユーザーへ届くサンクスメールは、送信先がユーザー自身のメールアドレスになるため、この問題の影響を受けません。独自ドメインのアドレスから正常に送信されます。
まとめ
Webサーバーとメールサーバーを分けることで、セキュリティリスクの分散やサーバー負荷の軽減、サーバー変更を伴うリニューアル時のメール環境への影響を防ぐといったメリットが得られます。一方で、コストや管理の手間が増える点、同一ドメインでのフォームからのメールが届かなくなる点には注意が必要です。
DNSの設定が難しい場合は、Gmailの転送を活用することで対処できます。自社の運用体制や目的に合わせて、最適なサーバー構成を検討してください。
