WordPressの脆弱性とは、本体やテーマ、プラグインに存在するセキュリティ上の弱点のことです。世界中で最も利用されているCMSであるがゆえに攻撃者から狙われやすく、対策をせずに放置すると、ホームページの改ざんや情報漏洩といった深刻な被害につながりかねません。
この記事では、脆弱性が狙われる理由から具体的なセキュリティ対策まで、WordPressで制作したホームページを安全に運用するために必要な知識を解説します。
WordPressの脆弱性とは
WordPressの脆弱性とは、WordPress本体やテーマ、プラグインに存在するセキュリティ上の弱点のことです。プログラムの開発段階では気づけないバグや設計上の欠陥がどうしても残るため、どれだけ注意深く作られたソフトウェアでも脆弱性のリスクをゼロにはできません。
この弱点を攻撃者に悪用されると、ホームページの改ざんや不正アクセス、情報漏洩といった被害が発生します。特にWordPressはプラグインやテーマの多くが第三者によって開発されているため、本体だけでなくそれらの拡張機能にも脆弱性が見つかるケースが少なくありません。
Patchstackの調査によると、2025年に報告されたWordPress関連の脆弱性は1万件を超えており、その約9割がプラグインに起因するものでした。
こうした数字を見ると不安に感じるかもしれませんが、脆弱性の多くはバージョンアップで修正されます。大切なのは、脆弱性の存在を正しく理解したうえで、適切な対策を継続することです。
WordPressの脆弱性が狙われる理由

WordPressの脆弱性が攻撃者に狙われるのには、明確な理由があります。WordPress自体の品質が低いわけではなく、その普及度や仕組みが攻撃の効率を高めてしまう構造になっているためです。
世界中で圧倒的なシェアを持つCMSだから
W3Techsの調査によると、WordPressは全Webサイトの約42%、CMS市場では約60%という圧倒的なシェアを占めています。
攻撃者の立場で考えると、一つの脆弱性を見つければ膨大な数のホームページに同じ手口が使えるため、他のCMSを狙うよりもはるかに効率が良いわけです。利用者が多いということは、それだけ攻撃の対象も多いということを意味しています。
オープンソースでソースコードが公開されているから
WordPressはオープンソースのCMSであり、誰でもソースコードを閲覧できます。
これは世界中の開発者が改善に参加できるという大きなメリットがある一方で、攻撃者もプログラムの構造を分析して弱点を見つけられるという側面があります。脆弱性が発見されると修正パッチが公開されますが、アップデートを適用していないホームページは、脆弱性をもとに攻撃されるリスクが高まります。
セキュリティ対策が不十分なホームページが多いから
WordPressは専門知識がなくてもホームページを作れる手軽さが魅力ですが、その反面、セキュリティ対策まで手が回っていないホームページが多く見られます。
管理画面のログインURLが初期設定のまま、パスワードが簡単な文字列、プラグインが何年も更新されていないといった状態は、攻撃者にとって格好の標的です。特に中小企業のホームページでは、制作後の運用体制が整っていないことが多く、脆弱性が放置されやすい傾向にあります。
脆弱性を放置するとどうなるのか

脆弱性を放置した場合に実際にどのような被害が起きるのかを理解しておくことは、対策の重要性を認識するうえで欠かせません。ここでは、代表的な被害を紹介します。
ホームページの改ざんや不正コンテンツが埋め込まれる
脆弱性を突かれると、ホームページの内容を書き換えられたり、不正なコードを埋め込まれたりする被害が発生します。
よくあるケースとしては、訪問者を悪質な外部サイトへ自動的に転送させるスクリプトの埋め込みや、スパムページの大量生成があります。厄介なのは、管理画面の見た目には変化がなく、改ざんに気づかないまま被害が広がってしまう場合が多い点です。
自社のホームページが知らないうちにマルウェアの配布元になっていたという事例も実際に報告されています。
個人情報や顧客データの漏洩につながる
お問い合わせフォームや会員登録機能を設けているホームページでは、脆弱性を通じて顧客の氏名やメールアドレス、電話番号などが流出するリスクがあります。
個人情報の漏洩は、企業としての信頼を大きく損なうだけでなく、損害賠償や行政指導の対象になる可能性もあります。
中小企業であっても個人情報保護法の対象であることに変わりはないため、規模が小さいから狙われないという考えは危険です。
検索順位の下落やGoogleから警告を受けてしまう
ホームページが改ざんされてマルウェアや不正コンテンツが含まれていると、Googleはそのホームページを危険と判断し、検索結果に警告を表示したり、インデックスから除外したりします。
こうなると検索順位は大幅に下落し、アクセス数の激減は避けられません。
復旧後にGoogleへ再審査を申請することは可能ですが、以前の検索順位に戻るまでには時間がかかります。SEOに力を入れてきたホームページほど、このダメージは深刻なものになります。
WordPressの安全性を高めるセキュリティ対策

WordPressの安全性を高めるためには、日常的なセキュリティ対策の積み重ねが欠かせません。ここでは、中小企業のホームページ担当者でも実践しやすい7つの対策を紹介します。
WordPress本体・テーマ・プラグイン・PHPを常に最新にする
WordPressのセキュリティ対策で最も基本かつ重要なのが、バージョンアップです。
WordPress本体だけでなく、テーマやプラグインにも脆弱性は発見されており、2025年に報告されたWordPress関連の脆弱性1万件超のうち約9割がプラグインに起因するものでした。アップデートには脆弱性の修正が含まれているため、更新通知が届いたら早めに対応することが大切です。
また、見落とされがちなのがPHPのバージョンです。WordPressはPHPで動作しており、PHP自体にも脆弱性は見つかります。レンタルサーバーの管理画面からPHPバージョンを確認し、サポート期限が切れたバージョンを使い続けないようにしましょう。
なお、アップデート前には必ずバックアップを取り、テーマやプラグインとの互換性に問題がないか確認してください。
使っていないテーマやプラグインを削除する
無効化しているだけのテーマやプラグインも、サーバー上にファイルが残っている限り攻撃対象になり得ます。
使っていない状態だとアップデートへの意識も薄れやすく、脆弱性が放置されたまま残り続ける原因になります。現在使用していないテーマやプラグインは、無効化ではなく完全に削除しておくのが安全です。
WordPressのデフォルトテーマについても、利用中のテーマ以外は削除して問題ありません。
ログインURLを定期的に変更する
WordPressのログインページは、デフォルトではドメインの後ろに/wp-login.phpを付けるだけでアクセスできます。
この仕組みは広く知られているため、攻撃者が自動プログラムを使ってログイン画面に総当たり攻撃を仕掛けてくるケースが後を絶ちません。セキュリティプラグインを使ってログインURLを変更し、さらに定期的にURLを変えることで、不正アクセスのリスクを大幅に下げることができます。
変更後のURLはブックマークしておくことを忘れないようにしましょう。
パスワードを複雑に設定する
ログイン突破を狙う攻撃の多くは、よく使われるパスワードを片っ端から試す手法です。
英大文字・小文字・数字・記号を組み合わせた12文字以上のパスワードを設定することで、総当たり攻撃への耐性が格段に上がります。WordPress管理画面のユーザー設定から自動生成されたパスワードをそのまま使うのも一つの方法です。
また、他のサービスで使っているパスワードの使い回しは避けましょう。一つのサービスから情報が漏洩すると、同じパスワードでWordPressにも不正ログインされるリスクがあります。
セキュリティプラグインを導入する
セキュリティプラグインを導入すれば、ログインURLの変更、画像認証の追加、ログイン試行回数の制限、ユーザー名の漏洩防止といった対策をまとめて設定できます。
国産のプラグインとしては、エックスサーバーが開発するCloudSecure WP Securityや、SiteGuard WP Pluginが代表的です。どちらも日本語対応で無料で使えるため、専門知識がなくても導入しやすいのが特長です。
ただし、セキュリティプラグインを複数入れると機能が競合して不具合の原因になるため、1つに絞って運用するのが基本です。
定期的にバックアップを取る
どれだけ対策を講じても、脆弱性を完全になくすことはできません。
万が一の改ざんやデータ消失に備えて、定期的なバックアップは必ず行いましょう。バックアップ対象はWordPressのファイル一式とデータベースの両方です。レンタルサーバーの自動バックアップ機能に加えて、UpdraftPlusなどのプラグインを併用すれば、より安全な体制を整えられます。
バックアップデータはサーバーとは別の場所にも保管しておくと、サーバー自体が被害を受けた場合にも復旧が可能です。
サーバー側のセキュリティ機能を活用する
WordPress側の対策だけでなく、レンタルサーバーが提供するセキュリティ機能も積極的に活用しましょう。
多くのレンタルサーバーでは、WAF、国外IPアクセス制限、ログイン試行回数制限といった機能が標準で用意されています。例えばエックスサーバーでは、WordPressセキュリティ設定からこれらの機能をワンクリックで有効化できます。
サーバー側で攻撃をブロックすれば、WordPress本体に到達する前に不正アクセスを防げるため、プラグインとの二重防御として非常に効果的です。
WordPressの脆弱性に関するよくある質問
WordPressの脆弱性やセキュリティ対策について、よく寄せられる質問をまとめました。
セキュリティ対策はどれくらいの頻度で行えばいい?
WordPress本体・テーマ・プラグインのバージョンアップは、制作会社と連携して月1回の定期チェックを行うのが基本です。難しい場合でも、少なくとも半年に1回はまとめて更新を行いましょう。
ログインURLの変更は月1回程度、パスワードの変更は3ヶ月に1回程度が目安です。
バックアップについては、更新頻度の高いホームページなら毎日、それ以外でも週1回は自動バックアップが取れる状態にしておくと安心です。
脆弱性情報はどこで確認できる?
WordPress関連の脆弱性情報を確認できる主な情報源としては、JVN iPedia、Wordfence、WPScanの3つがあります。
JVN iPediaはIPAが運営する国内の脆弱性情報データベースで、日本語で検索できます。WordfenceとWPScanはWordPressに特化した海外のデータベースで、プラグインやテーマごとの脆弱性情報を網羅的に公開しています。
また、利用中のレンタルサーバーからも重要な脆弱性に関するお知らせが届くことがあるため、メールの見落としにも注意してください。
脆弱性診断は無料でできる?
無料で利用できるツールがあります。
まず、WordPress管理画面の「サイトヘルス」機能を使えば、バージョンの状態やセキュリティ上の問題点を簡易的にチェックできます。
外部ツールとしては、WPScanのオンライン版やSucuri SiteCheckなどがあり、ホームページのURLを入力するだけで既知の脆弱性やマルウェア感染の有無を診断できます。
ただし、無料ツールでの診断には限界があるため、ECサイトや個人情報を扱うホームページの場合は、専門業者による有料の脆弱性診断を検討する価値があります。
自社でセキュリティ対策を行っても問題ありませんか?
セキュリティ対策は、できる限りホームページを制作した制作会社に依頼するのが安全です。
アップデートによってテーマやプラグインに不具合が出るケースもあり、ホームページの構成を把握している制作会社であれば、問題が起きた際にも迅速に対応できます。
制作会社が保守サービスを提供していない場合や、すでに関係が途絶えている場合は、WordPress保守を専門に扱うサービスを検討しましょう。
WordPressは危険だから使わない方がいい?
WordPress自体が危険なわけではありません。
脆弱性が多く報告されているのは、世界で最も使われているCMSだからこそ注目度が高く、発見・報告の件数が多くなるという側面があります。WordPress本体のセキュリティは開発コミュニティによって継続的に改善されており、適切なバージョンアップとセキュリティ対策を行っていれば、安全に運用できるCMSです。
重要なのはWordPressを使うかどうかではなく、どのCMSを選んでも正しいセキュリティ対策を続けることです。
まとめ
WordPressの脆弱性とは、本体やテーマ、プラグインに存在するセキュリティ上の弱点のことです。世界で最も利用されているCMSであるがゆえに攻撃者の標的になりやすく、脆弱性を放置するとホームページの改ざんや情報漏洩、検索順位の下落といった深刻な被害につながります。
ただし、適切な対策を継続すれば安全に運用できるCMSであることに変わりはありません。バージョンアップの徹底、不要なプラグインの削除、ログインURLの変更、セキュリティプラグインの導入など、この記事で紹介した対策を一つずつ実施していくことが、ホームページを守る確実な方法です。
自社での対応が難しい場合は、制作会社や保守サービスと連携しながら、セキュリティ対策を継続できる体制を整えていきましょう。
