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WebサイトにおけるKPIの意味と設定方法
Webサイトの改善や運用において、成果を数値で把握することは欠かせません。中でもKPIの設定は、目標達成までの道筋を明確にし、施策の効果を正しく判断するための重要な手がかりとなります。
このページでは、KPIの基本的な意味から、ツリー構造を使った整理方法、具体的な設定手順や注意点までを解説します。Webサイトの成果を上げたいと考えている方にとって、役立つ内容をまとめています。
目次
WebサイトにおけるKPIの意味
WebサイトにおけるKPIとは、アクセス数やコンバージョン率など、目的達成に向けた進捗を数値で可視化するための指標のことを指します。
KPIはKey Performance Indicatorの略称で、設定した目標(KGI)に向かって、今どれだけ成果が出ているかを判断するための基準となります。 たとえば、資料請求をゴールとするWebサイトであれば、月間資料請求件数がKGIとなり、そのためのKPIとしてページビュー数、直帰率などが設定されることがあります。
KPIは単なる数値ではなく、目標に対する具体的なアクションを見直すための道しるべです。適切に設定されたKPIがあることで、施策の改善ポイントが明確になり、Webサイトの運用において迷いなく意思決定を行えるようになります。
KPIツリーとは
KPIツリーとは、WebサイトのKGIを達成するために必要な要素を階層的に整理し、それぞれの要素に対応するKPIを枝分かれさせるように図式化したものです。ツリー状に可視化することで、どの指標がどの目標に紐づいているかをひと目で把握できるようになります。
たとえば、お問い合わせ数の増加というKGIがある場合、KPIツリーではその達成に必要な中間指標として訪問者数・コンバージョン率などが配置され、それぞれがどのように成果につながっているかを整理します。
このとき、KPIの上位概念としてCSF(重要成功要因)を設定することで、何に注力すべきかの方向性も明確になります。CSFはKGIの達成に欠かせない鍵となる要素であり、KPIツリーの中ではKPIとKGIをつなぐ中間的な存在です。
KPIを考えるうえでは、Excelやメモ帳に数値を並べるだけで済ませてしまうケースもありますが、KPIツリーを使うことで指標間のつながりが視覚的に整理され、チーム全体での共有や理解もスムーズになります。
施策と成果の関係性を明確にできる点がKPIツリーの大きな特徴であり、Webサイトの改善における意思決定の質を高めてくれる重要な手法といえるでしょう。
KPIツリーを使うメリット
KPIツリーを活用することで、目標に向けた指標の関係性が明確になり、Webサイト改善の方向性がつかみやすくなります。ここでは主なメリットを紹介します。
指標の明確化
KPIツリーを使う最大のメリットの一つが、必要な指標を体系的に整理できる点です。
Webサイトの運用においては、ページビューや滞在時間、コンバージョン率など様々な数値が存在しますが、これらがどのようにKGIに結びつくのかを把握するのは容易ではありません。
KPIツリーを使えば、KGIから逆算して必要なKPIを階層的に設計できるため、追うべき指標とそうでない指標の区別がつきやすくなります。
ボトルネックの特定
もう一つの重要なメリットは、成果が出ていない原因を特定しやすくなる点です。
KPIツリーでは各指標が階層的につながっているため、どこかのKPIが想定よりも低い値を示している場合、それが全体の成果にどう影響しているかを分析しやすくなります。たとえば、訪問者数が多いにもかかわらずお問い合わせ数が少ない場合、コンバージョン率やフォームの離脱率といったKPIに問題がある可能性があります。
KPIツリーがあれば、数値のつながりを可視化した状態で検証できるため、施策改善に向けた判断が速くなり、効果的な対応が可能になります。
WebサイトのKPIの設定方法
KPIは思いつきで決めるのではなく、目的に沿った論理的な手順で設定することが重要です。ここではKGIの設定から、CSFの絞り込み、そしてKPIの決定という流れで解説します。
KGIの設定
KGIは、最終的に達成すべきゴールを表す指標です。
WebサイトにおけるKGIは、たとえば、月間の問い合わせ件数を100件にする、ECサイトの月間売上を500万円にするなど、定量的に測れる目標が一般的です。KPIの設定はこのKGIを基準に行うため、まずは全体の目的やWebサイトの役割を明確にし、その上で達成すべき数値目標を定めます。
KGIが曖昧なままだと、その後に設定するKPIの精度も低くなり、正しい改善判断が難しくなります。
CSFの絞り込み
CSFは、KGIを達成するために欠かせない重要な要因です。たとえば、問い合わせ数の増加がKGIなら、訪問者の質、問い合わせフォームの使いやすさ、コンバージョン率、直帰率の低下といった項目がCSFとなり得ます。
CSFはKPIと異なり、定量的な数値だけでなく、成功に必要な条件や環境、施策の方向性といった定性的な要素も含まれます。KGIを達成する上で本当に重要なポイントは何かを洗い出し、優先度をつけながらCSFを絞り込むことで、その後のKPI設定がより具体的かつ効果的になります。
KPIの決定
CSFをもとに、具体的な数値で管理できるKPIを設定していきます。たとえば、訪問者の質をCSFとした場合、オーガニック検索からの訪問者数や直帰率がKPIになります。
ここで重要なのは、設定するKPIがCSFに対して直接的な関係を持っていることです。数値として追いやすいからという理由だけでKPIを決めてしまうと、施策と成果が結びつかず、改善の方向性が見えづらくなります。
KPIは目標までの進捗を測るための道しるべであり、実行可能でかつ測定可能な内容に落とし込むことが成功の鍵となります。
KPI設定でよくある注意点
KPIは目標達成に向けた指標として重要な役割を持ちますが、設定の仕方によってはかえって効果を妨げてしまうこともあります。ここでは、KPIを運用するうえで気をつけておきたい注意点を紹介します。
KPIを多くし過ぎない
KPIをあれもこれもと設定し過ぎると、どの指標を優先すべきかが不明瞭になり、施策の焦点がぼやけてしまいます。指標が多すぎるとチーム全体のリソースも分散し、本来注力すべき施策に十分な対応ができなくなる可能性があります。
KPIは、数値で進捗を測る道しるべであるため、最も成果に直結する指標を厳選することが大切です。目安としては、部門や施策ごとに2〜3個程度に絞ると、管理がしやすくなります。
チーム内で共有する
KPIは設定するだけでなく、関係者全員で共有することが重要です。誰がどの指標に責任を持ち、どのように行動すべきかが曖昧なままだと、KPIが機能しません。
定例会議やドキュメント、ダッシュボードなどを活用し、チーム内でKPIの進捗状況を可視化する仕組みを整えると、目標達成に向けた行動が具体的になります。
KPIを共通認識とすることで、チーム全体の方向性がそろい、施策の実行力が高まります。
定期的に見直す
一度設定したKPIをそのまま放置してしまうと、Webサイトの状況や環境の変化に対応できなくなる恐れがあります。たとえば、SEO施策によって流入経路が変わったり、商品構成が変わったりすれば、それまで重要だったKPIが適さなくなる場合もあります。
KPIは、状況に応じて更新されるべきものと捉え、定期的な見直しのタイミングを設けておくことが大切です。月次・四半期など、一定のサイクルでKPIを点検し、必要に応じて修正しましょう。
まとめ:Webサイトの成果を高めるにはKPIの設定が不可欠
Webサイトを効果的に運用していくためには、KPIの設定が欠かせません。KPIを明確にすることで、施策の効果を数値で把握できるようになり、改善すべきポイントも見えてきます。
特に、KGIやCSFといった上位概念と関連づけながらKPIツリーで整理することで、目標までの道筋をチーム全体で共有しやすくなります。
KPIは設定しただけで成果が出るものではなく、運用と見直しを繰り返しながら精度を高めていくことが重要です。今回ご紹介した考え方や手順を参考に、自社のWebサイトに合ったKPIを設計し、成果につなげましょう。