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ホームページにPDFを公開するメリット・デメリットと注意点
ホームページでは、通常のWebページだけでなく、PDFファイルを公開することもできます。PDFは、ほとんどのパソコンやスマートフォンで閲覧でき、検索エンジンも内容を認識するため、SEO効果も期待できます。
この記事では、ホームページに公開するPDFの基礎知識を踏まえながら、PDFを公開するメリット・デメリット、注意点、そして実際に成果を出した事例をご紹介します。
目次
ホームページに公開するPDFの基本知識
ホームページで情報を公開する方法には、Webページだけでなく、PDFファイルをアップロードして公開する方法もあります。
PDFは、ホームページのサーバーにアップロードして公開します。Webページのように内容をページ内に直接表示するのではなく、リンクをクリックするとPDFファイルが開く、またはダウンロードされる仕組みです。つまり、ページの一部というより、添付資料を見てもらうイメージに近い形式です。
PDFはレイアウトが固定されていてデザインどおりに表示できるという特性があります。どの端末・環境でも崩れずに見られるため、カタログ・パンフレットや図版・表が多い技術資料などで、正確な見た目を保つことが重要な情報に向いています。
さらに、PDFは検索エンジンがテキスト情報を読み取れるため、Webページと同じようにインデックスされます。つまり、公開したPDFファイルもSEOの対象になるので、しっかりとした資料を公開すれば検索流入を増やす入り口ページとして活用できるのも特徴です。
このように、PDFはWebページとは異なる形式ですが、独立した資料として公開しつつ、検索にも対応できる便利なファイル形式です。
まずは、この特性を理解しておくことで効率よくホームページ運用が行えるようになります。
ホームページにPDFを公開するメリット
ホームページに情報を掲載する方法は、Webページだけではありません。既存資料をPDF化して公開することで、効率的にコンテンツを増やしたり、情報の正確性を保ったまま発信したりすることが可能です。ここでは、ホームページにPDFを公開するメリットを紹介します。
原稿作成時間の短縮と制作料金の削減
ホームページにPDFを公開することで、原稿作成にかかる時間を短縮し、制作料金を抑えることができます。
たとえば、ExcelやPowerPointなど既存の営業資料があれば、そのままPDF形式で保存するだけで公開用データが完成します。わざわざWebページ用にリライトする必要がありません。
また、PDFの内容をWebページとして再構成すると、制作会社の作業時間が増え、その分料金も高くなりますが、PDFをアップロードするだけなら無料または低価格で対応してもらえる場合が多いです。
見た目の印象やデザイン性が重要な場合はWebページ化を検討すべきですが、そうでなければPDFとして掲載することで、納期短縮とコスト削減を両立できます。
より早くSEO効果が向上する
検索エンジンは、PDFもWebページと同様にインデックスします。
Webページ化するにはリライト作業が必要で時間がかかりますが、PDFなら保存してアップロードするだけで、数分で公開できます。そのため、PDFを活用すれば、SEO対策としてのページ追加を効率的に進められます。
アップロードだけなら、1日に10枚や100枚といった大量公開も可能で、同数のWebページを作成するのと同等の効果が得られ、短期間でSEO効果を実感しやすくなります。
品質の高い情報を公開できる
営業資料は、お客さまへの説明を重ねる中で伝わりにくかった部分が随時見直され、日々ブラッシュアップされているため、内容の完成度が高いケースが多くあります。そのため、無理にWebページ用に作り直すよりも、PDFのまま公開したほうが質を保ちやすい傾向があります。
一方で、Webページ化すると文字数やレイアウトの制約があり、情報が簡略化されてしまうことで内容が弱まるおそれもあります。
こうしたリスクを避けるためにも、既存資料をPDFとしてそのまま公開する方法は、ホームページ全体の品質を高めるうえで効果的です。
ホームページにPDFを公開するデメリット
PDFは既存資料を手軽に公開できて便利ですが、Webページとは異なる特性を持つため、注意すべき点もあります。うまく活用するにはメリットだけでなくデメリットも理解しておくことが大切です。ここでは、ホームページにPDFを公開するデメリットを紹介します。
離脱の原因になる可能性が高い
PDFは、ユーザーが閲覧後にホームページから離脱してしまう要因になりやすいという欠点があります。
Webページなら他のページへのリンクをたどって回遊してくれますが、PDFは印刷や保存をした時点でブラウザを閉じられてしまうケースが少なくありません。
対策としては、PDF内にサイト内の他のページへのリンクを設置したり、印刷された場合でも連絡先が分かるように「会社名・住所・電話番号・ホームページのURL」を明記しておくことが効果的です。
こうした工夫を取り入れることで、PDFの離脱を防ぎ、サイト内の回遊につなげることができます。
更新作業の手間が増える
PDFの内容を更新するには、元となるWord・Excel・PowerPointなどのファイルを修正し、再度PDFとして保存したうえで、同じファイル名でサーバーに上書きアップロードする必要があります。
このように手順が多いため、通常のWebページよりも更新工数がかかりやすく、忙しいサイト管理者にとっては負担に感じられることがあります。
効率的な回避策がほとんどないため、PDFを多く扱う場合は、更新に手間がかかることを前提として運用計画を立てることが大切です。
レスポンシブ対応ができない
PDFは、Webページのようにレスポンシブ対応ができないため、閲覧する端末や画面サイズに合わせて表示を最適化できません。
その結果、スマートフォンなど小さな画面では文字や図が縮小されて読みにくくなり、拡大や横スクロールが必要になる場合があります。
モバイルユーザーが多いホームページでは閲覧性の低下が離脱につながるおそれもあるため、PDFを公開する際は表示環境への配慮が欠かせません。
ページの分析がしづらい
PDFはWebページのようにアクセス解析タグを設置できないため、ユーザー行動を分析することが難しいというデメリットがあります。
どの資料がどれくらい閲覧されているのか、どのタイミングで離脱されているのかといったデータが得られなければ、改善点の発見や効果検証を行いづらくなります。
その結果、コンテンツごとの成果を比較したり、SEO対策や導線設計を最適化したりするための分析が不十分になってしまう点には注意が必要です。
対策としては、PDFのダウンロード数をイベント計測したり、リンククリックをトラッキングするなど、間接的に閲覧状況を把握する方法を組み合わせるとよいでしょう。
ホームページにPDFを公開する際の注意点
PDFは便利ですが、適切な形式で用意しないと検索エンジンに正しく認識されなかったり、ユーザーにとって使いづらくなるおそれがあります。ここでは、ホームページにPDFを公開する際の注意点を紹介します。
PDFをアウトライン化しない
PDFをアップロードする際には、文字をアウトライン化せずに保存しましょう。
アウトライン化されたPDFは文字情報が画像のように扱われるため、検索エンジンが内容を読み取れず、SEO効果が期待できません。
Googleの検索品質評価ガイドラインでも、テキストとして認識できる形式での公開が推奨されています。公開前にPDFを開き、文字がコピーできるかどうかを確認しておくと安心です。
PDF内にホームページへのリンクを設置する
PDFを単体で公開すると、閲覧後にユーザーが離脱してしまう可能性があります。
これを防ぐために、PDF内に自社サイトのトップページや関連ページへのリンクを設置しておきましょう。
閲覧後にスムーズにサイト内へ誘導できるようにすることで、回遊性を高め、問い合わせや資料請求といった次のアクションにもつなげやすくなります。
ファイルサイズを最適化する
PDFのファイルサイズが大きいと、読み込みに時間がかかり、ユーザーの離脱を招きやすくなります。
特にモバイル回線では表示までに時間がかかるため、できるだけ軽量化して公開することが重要です。
画像の解像度を適切に調整したり、不要な要素を削除したうえで圧縮するなど、公開前に最適化しておくと快適に閲覧してもらえます。
ホームページにPDFを公開して成果を出した事例
非鉄金属商社のWITH COPPERでは、営業資料として使っていたExcelデータをPDFに変換し、自社のホームページで公開しました。
現在では、公開したPDFは約1,000枚にのぼり、それぞれが検索エンジンにインデックスされることで、多くのユーザーを集めています。
実際にGoogleサーチコンソールの過去28日間のデータでは、合計クリック数11,000回・表示回数19.9万回・平均掲載順位11.1位と、高いSEO効果が確認されています。
大量のPDFを公開したことで、GoogleからPDFに直接アクセスするユーザーが増えたほか、狙っていたキーワードとの関連性も高まり、検索順位の向上につなげることに成功しました。
さらに、PDFの下部には会社名・URL・電話番号・FAX番号を明記することで、閲覧後に離脱せず問い合わせにつなげる導線も確保しています。
まとめ:PDFの公開は効率的だが用途を見極めて活用する
ホームページにPDFを公開することは、既存資料を活用して効率的にコンテンツを増やせる一方で、更新や分析の手間などいくつかの制約も伴います。
品質の高い営業資料がそろっていて、公開後すぐにSEO効果を狙いたい場合には特に効果的ですが、閲覧環境や運用負荷も踏まえて活用方針を検討することが大切です。
ホームページにPDFを掲載するべきか迷っている方は、今回紹介したメリット・デメリットを比較し、自社に合った方法を選んでみてください。