- 2023.09.17
ホームページ制作はオワコンか
現代、ホームページ制作の位置付けが大きく揺れている中、多くの方が「ホームページ制作はもはや時代遅れなのか?」という疑問を抱いています。この疑問は、最近の検索トレンドや業界内の議論にも浮上してきており、答えを求める声が日増しに高まっています。
しかし、実際のところ、ホームページの基本的な価値は決して減少していないのかもしれません。むしろ、その役割や目的が時代と共に変化し、ユーザーが求める情報の質や形も進化しています。
このページでは、20年近くにわたり“オワコン”と言われ続けるホームページ制作の真の価値と、これからの展望について深く探求していきます。制作会社としての我々の経験と視点から、ホームページが今後も持ち続けるであろう存在価値とは何かを明らかにします。
ホームページ制作がオワコンと言われる理由
誰でもホームページを制作できる時代に
昔はホームページの制作は専門家に依存していましたが、今日では、テクノロジーの発展により、専門知識がない人でも短時間で独自のホームページを制作できるようになりました。この背景には、ノーコードツールや豊富なテンプレート、そして使いやすいCMSがあります。これらのツールを利用すれば、コーディングスキルがなくても、ある程度の質の高いホームページを作成することが可能になります。
加えて、AI技術の進化により、ユーザーのニーズや好みに合わせたデザイン提案や、効果的なコンテンツ配置が自動化される日もそう遠くないかもしれません。これにより、個人や小さなビジネスオーナーでも、一般的なホームページ制作会社のサービスを超えるサイトを持つことが可能になるでしょう。
ただ、これらのテクノロジーの進化が、専門のホームページ制作が不要になるわけではありません。オリジナリティや専門的なニーズ、高度な機能を持ったサイト制作は、やはりプロの手を必要とします。しかし、一般的なニーズに応えるホームページ制作は、今後ますます手軽になることは間違いありません。
フリーランスの増加でライバルの急増
近年、ホームページ制作の業界は、技術の進歩と教育の普及により、多くのフリーランスデザイナーや開発者が現れました。基本的なデザイン感覚やHTML、CSSのスキルがあれば、初心者でもホームページの制作に挑戦することができます。この容易な参入条件は、フリーランスの増加を招き、業界の競争を激化させています。
案件の取得が一段と難しくなり、多くの制作会社やフリーランスが同じ仕事を狙う中、相見積もりの数は増加し、案件取得の確率は下がり続けています。これは、クライアントにとっては価格競争が生じるため、費用面での利益は見込めますが、制作側にとっては収益性が下がる懸念が現れます。
ネットショップの設立やコーポレートサイトの制作の需要は確かに高いものの、競合の増加により案件の取得が難しくなっているのは事実です。そのため、ただ技術を持っているだけではなく、独自の価値提案や専門性を高めることが、今後のホームページ制作業界での生き残りの鍵となるでしょう。
価格競争の激化で利益率の低下
ホームページ制作の業界では、現在、厳しい価格競争が進行中です。尤も、フリーランスの台頭により、価格の設定に大きな変動が生まれてきています。彼らの単価は、多くの場合、制作会社よりも低めに設定されており、その結果、価格競争がさらに激化しているのです。
この激化する競争の中で、ホームページ制作の価値そのものが低下しているわけではありません。しかしながら、ノーコードツールなどの出現により、制作が簡略化されたことは事実です。この動きにより、企業側の予算も抑えられる傾向が強まりました。
しかし、価格が低くなったとしても、制作の複雑さや、顧客からのカスタマイズ要求は変わらず、実際の作業量は変動していません。そのため、制作側の利益率は確実に低下しています。さらに、顧客からの要望の変更や微調整が頻繁に入ることで、作業効率も落ちてしまっています。
これらの状況は、フロントエンドエンジニアやディレクターの仕事の質や効率にも影響を及ぼしています。業界としては、今後、この状況をどのように乗り越えていくか、新しい価値提案やサービス提供の形を考える必要があります。ホームページ制作は、単にサイトを作るだけの業務ではなく、クライアントとのコミュニケーションや、新しい技術の導入など、多岐にわたる知識とスキルが求められる領域です。この事実を再認識し、新しい価値を提供する道を模索することが、業界の健全な発展の鍵となるでしょう。
オワコンにならないホームページ制作に必要なこと
特徴があるホームページ制作を追求
今日のホームページ制作の業界は、単純にデザインや構築のスキルだけでは差別化が難しい時代です。しかし、それぞれの制作会社が持っている独自の特徴や強みを最大限に活かすことで、市場での競争力を高めることができます。
デザインの質の高さ、運営に最適化されたソースコード、SEO対策の専門知識など、制作会社の特色をしっかりと打ち出すことが、顧客を引きつける鍵となります。例えば、お客さまが「ホームページ制作をして、効果を実感したい」との要望を持って接触してきた際、単にホームページを作るだけの提案ではなく、具体的なSEO対策やその実績を提示することで、信頼を築き、選ばれる可能性を高めることができます。
実際、多くのクライアントは、単に「見た目の良いホームページ」ではなく、「効果をもたらすホームページ」を求めています。このニーズに応えるためには、特徴あるホームページ制作を追求することが不可欠です。
そのため、制作業界がオワコンとされる現代でも、特色と実績を活かしたホームページ制作は、まだまだ多くの顧客から必要とされています。制作会社としては、その特徴を明確にし、提供するサービスの質を高めることで、今後も業界での地位を保ち続けることができるでしょう。
低価格を売りにしない
ホームページ制作業界における価格設定は独特なものがあります。人件費が中心となるため、低価格の提供が可能となる面も確かに存在します。しかし、価格のみを競合点とすることは、長期的には持続的なビジネスモデルとは言えません。
低価格の制作を打ち出すと、確かに多くの案件を引き受ける必要が出てきます。仮に月に100万円の売上を目指す場面で、1案件20万円での提供を考えると、5案件のホームページを納品することが求められます。ホームページ制作は、高品質なものを提供するには多くの時間と労力が必要です。低価格に固執することで生じる高いワークロードは、最終的に品質の低下を招く恐れがあります。
品質の低下は、制作業者のスキルやノウハウの向上を妨げるだけでなく、クライアントにとっても期待した成果を得ることが難しくなります。これは、ホームページ制作の真の価値を低減させる要因となります。
低価格は顧客獲得の一つの手法であるかもしれませんが、真に求められているのは「価格以上の価値」を提供することです。ホームページ制作の価格設定は、人件費や必要な技術力を適切に評価し、クオリティを保ちながら、バランス良く提供することが求められます。
結果として、ホームページ制作が「オワコン」でないためには、単に低価格を追求するのではなく、真の価値を理解し、それを適正価格で提供する姿勢が不可欠です。
お客さまの広報室に
ホームページの公開後、お客さまが直面する様々な疑問や悩み。それは制作会社が直接的にサポートすべき課題となります。特に、小規模な制作会社は新規の顧客獲得に時間と労力を多く割く傾向があり、持続可能なビジネスモデルの構築が課題となります。
ここでの鍵は「リピート顧客」の存在です。一度の発注だけで終わらせず、お客さまの広報室として継続的なサポートを提供することが、制作会社の長期的な成長に繋がります。ホームページ制作後の疑問や更新の要望、さらには新しいコンテンツの提案など、様々なニーズに対応することで、信頼関係を深めることができます。
新規顧客の獲得は確かに重要ですが、それだけに頼るのはリスキーです。SEOやソーシャルメディアの活用は不可欠ですが、これらの方法は常に変動する要素が多く、持続的な集客を保証するものではありません。そこで、お客さまとの強固な関係を築くことで、リピート受注や口コミによる新規顧客の獲得へと繋げることが重要です。
ホームページ制作がオワコンにならないためには、単なる制作を超えた付加価値を提供し続けることが求められます。お客さまの広報室としての役割を果たすことで、その価値を最大化することが可能です。
プラスアルファの提案
ホームページ制作業界は変革の時代を迎えています。先進の技術、如くレスポンシブデザインやワードプレスの導入が日常茶飯事となり、制作業務の内容は確実に増大しています。一方で、市場の中での価格競争は激化。この状況下での単価維持は至難の業ともいえます。
しかし、ここに新たなチャンスが潜んでいます。単なるホームページ制作ではなく、企業の成長をサポートする付加価値をもったサービス提供が不可欠です。オリジナルCMSの構築、継続したSEOサポート、そしてターゲットユーザーに合わせた最適化提案など、制作を超えたサポートが今、求められています。
単価のみを追求するのではなく、総体的な価値提供を目指すこと。それが、ホームページ制作業界が「オワコン」の烙印を避け、持続的な成長を追求する鍵となります。各項目が単なるオプション追加で終わらないよう、それぞれが明確な価値を持つ提案として組み込むことが重要です。
ホームページは納品後も進化し続けるもの。制作会社として、この変化を共に歩むパートナーとして、企業のビジョン実現をサポートする姿勢が求められています。この先、オワコンとなることなく、業界の新しい潮流を築いていくために、私たちは新しいアプローチとともに、お客様の真のニーズを捉えた提案を続けてまいります。
まとめ
ホームページ制作が「オワコン」とのレッテルを貼られる今日、しかし、その本質を理解すると、その認識は一変します。単純なホームページの制作だけを考えるのではなく、成果をもたらすマーケティングの要素を組み込むことが重要です。
現在、一般的なホームページ制作の見積もりは、競合他社との価格競争となりがちです。しかし、お客さまの真のニーズは「成果」にあります。そのため、成果を実現するための具体的な戦略や施策を提案することで、高い予算を確保できるケースも増えてきています。
このことから、単なるホームページ制作業としての価値は減少しているかもしれませんが、それを超えた価値提供が求められているのです。つまり、ホームページ制作とマーケティングの結合が新たな価値として注目されているのです。
最終的には、ホームページ制作を単なる「制作業」として捉えるのではなく、それを「成果をもたらすツール」としての位置づけを変えることが、未来の成功への鍵となるでしょう。