- 公開日: 最終更新日:
こたつ記事とは?ホームページで避けるべき低品質な文章
最近のホームページでは、内容の薄いページが目立つようになってきました。その背景には、取材や経験を伴わずに作られたこたつ記事の存在があります。
このページでは、こたつ記事の意味や増えている理由、そしてホームページに与える影響を解説します。自社のコンテンツを見直したいと考えている方にとって、避けるべきポイントが明確になる内容です。
目次
こたつ記事とは
こたつ記事とは、取材や自社の経験といった一次情報を使わず、すでに公開されている情報をもとに作られた記事を指します。テレビ番組、他社のホームページ、SNSなどの内容をリライトし、独自の視点や深掘りがないまま構成されるのが特徴です。そのため、情報に厚みがなく、内容が一般論に留まりやすくなります。
この言葉は、、2010年ごろにジャーナリストの本田雅一氏が使い始めたことで広まったと言われています。取材に出向くことなく、こたつに入りながら記事を仕上げるような姿勢を皮肉った表現として注目され、次第にWeb業界でも使われるようになりました。
とはいえ、すべてのこたつ記事が悪いとは限りません。丁寧にまとめられていたり、読みやすく整理されていたりすれば、ユーザーにとって一定の価値があると感じられるケースもあります。
本当に問題なのは、こたつ記事であるかどうかではなく、ページタイトルに対して中身が伴っていないことです。ページタイトルと関係の薄い一般論だけで構成されたこたつ記事は、検索エンジンやユーザーから評価されにくくなります。
こたつ記事が増えた理由
近年、ホームページ運営の効率化やコスト削減の流れから、こたつ記事と呼ばれるコンテンツが急速に増えています。ここでは、その背景にある主な理由を整理して紹介します。
記事の完成が早い
こたつ記事は、一次情報の収集や自社の体験に基づいたコンテンツ作成を省略し、他のサイトやメディアの情報をもとに短時間で仕上げることができます。
通常、1ページのWebコンテンツを制作するには、構成の検討、情報収集、画像選定などを含めて2時間以上かかることが一般的です。しかし、こたつ記事の場合はこれらの工程が簡略化されるため、半分以下の時間で記事が完成することもあります。
また、SEOでは一定のページ数が評価対象となるケースもあり、効率よく記事を増やす手段として、こたつ記事が好まれる傾向も見られます。短時間で量産できるという点が、こたつ記事が広まった大きな理由の一つです。
場所を気にせず執筆ができる
こたつ記事は、テレビ番組や他サイトの情報を参考にリライトするだけで成立するため、取材や実地調査の必要がありません。つまり、記事の執筆にあたって社内にいる必要もなく、ライターの自宅やカフェなど、どこでも作業が可能です。
通常のコンテンツ制作では、社内スタッフへのヒアリングや資料の確認など、オフィス環境での作業が必要になることが多く、場所に縛られがちです。その点、こたつ記事は作業場所に制限がないため、テレワークや副業ライターとの相性もよく、結果的に導入しやすくなっています。
場所を選ばず効率的に記事を作れる点もこたつ記事が増えている要因です。
コンテンツ制作費用を削減できる
取材や調査の手間を省略することで、こたつ記事はコンテンツ制作にかかるコストを大幅に削減できます。通常、1ページあたりの制作には、担当者の人件費だけでなく、外部のライターやカメラマン、編集者などを含めた外注費も発生することがあります。
こたつ記事の場合、調査やヒアリングが不要なため、社内での制作時間が短縮されるほか、外注してもライターに必要最低限の構成と文案作成のみを依頼すれば済むため、全体の制作費を抑えやすくなります。
予算の限られた運営体制では、こうした低コストの運用方法が選ばれやすく、結果としてこたつ記事の活用が増えている現状があります。
ページを量産することでPV数を伸ばしやすい
SEOの施策として、Webサイト全体のページ数を増やすことは、検索流入を広げる手法の一つです。
こたつ記事は、他のコンテンツと比較して作成にかかる時間が少なく、構成もテンプレート化しやすいため、大量のページを短期間で作成しやすいというメリットがあります。
また、こたつ記事は特定のテーマに絞った情報を扱いやすく、複数のキーワードを狙ったページ展開をする際にも活用されています。こうした量産型の戦略により、PV数を手っ取り早く伸ばす目的でこたつ記事を導入するケースは多く見られます。
特に成果報酬型の運用を行っているサイトでは、効率的にページを増やせる手段として重宝されています。
こたつ記事が抱える問題点
こたつ記事は効率よくページを増やせる反面、SEOやユーザー体験の観点ではいくつかのリスクを抱えています。ここでは代表的な問題点を紹介します。
SEO評価が上がりづらい
検索エンジンは、オリジナル性や専門性のあるコンテンツを高く評価する傾向にあります。そのため、こたつ記事のように他サイトの情報をなぞるだけの内容では、検索順位が思うように上がらないことがよくあります。
最近のGoogleアルゴリズムでは、E-E-A-Tという評価基準が重要視されています。こたつ記事はこの基準を満たしにくく、ページがインデックスされにくい、順位が安定しないといった状況にもつながりやすくなります。
SEOで成果を出すには、検索エンジンに、この情報は独自の価値があると認識されるような工夫が不可欠です。
低品質な文章になる
こたつ記事は、深い調査や実体験に基づかないため、どこかで見たような内容になりがちです。具体例や独自の視点が欠けると、文章全体が薄く感じられ、低品質な印象を与えてしまうことがあります。
特に、サービスの比較やノウハウを探している場面では、情報の具体性や説得力が求められます。こたつ記事では、こうしたニーズに応えるのが難しく、ユーザーに読み応えがないと感じられる可能性が高くなります。
せっかくページを開いても、必要な情報が得られなければ、その時点で読む価値を見いだしてもらえません。結果として、読者の記憶にも残らず、信頼されにくいコンテンツになってしまいます。
こたつ記事にならないために意識すべきポイント
こたつ記事を避けるには、情報の集め方や文章の書き方を少し工夫するだけでも十分に効果があります。ここでは、実践しやすく取り入れやすいポイントを紹介します。
自分の体験や知識を含める
こたつ記事のように他サイトの情報だけをなぞった文章では、どうしても説得力や信頼性が薄くなってしまいます。そこで意識したいのが、自分自身の体験や知識をコンテンツに反映させることです。
たとえば、〇〇というサービスを使った感想や実際にあった事例など、自社ならではの視点を加えるだけでも、記事の独自性が大きく高まります。たとえ経験が浅いテーマであっても、他社との違いや取り組み姿勢を言葉にすることで、読者にとっての価値ある情報になります。
あくまでも、御社のホームページであるという前提に立ち、一般論ではなく、声を届ける意識を持つことが、こたつ記事を回避する第一歩です。
感想を追加する
文章に自社の感想や考えを加えることも、こたつ記事にならないための有効な工夫です。特に、ページの冒頭と最後に考えや立場を明示しておくことで、読み手に対して文章の温度感や背景が伝わりやすくなります。
一般論だけで構成された文章は、どこか無機質で読み流されやすくなりますが、そこに、実際にこう感じた、当社ではこう考えていますといった一文があるだけで、読者との距離がぐっと縮まります。中間部分は一般的な説明中心でも問題ありませんが、前後に感想を添えるだけで記事全体の印象が変わります。
もし自社のコンテンツを読み返して、こたつ記事かもと感じるなら、まずは上下に感想を追記するリライトから始めるとよいでしょう。
信頼できる情報源にリンクする
体験談や意見を盛り込むことが難しいテーマの場合でも、こたつ記事にならない工夫は可能です。その一つが、文章の根拠を明確に示すために信頼できる情報源へリンクを貼ることです。
たとえば、官公庁や専門機関のデータ、公式のニュース記事など、客観性の高いソースを引用・紹介することで、一般論に見えていた内容に裏付けが加わります。これにより、読者は、この情報は信頼できそうだと感じ、自然と納得しやすくなります。
リンクを貼ることは、情報の正確性を担保する意味でも有効で、特にエビデンスが求められる分野では大きな信頼につながります。内容に自信があるなら、その裏付けもセットで示す姿勢が、こたつ記事を脱するポイントになります。
まとめ:こたつ記事を避けて信頼されるホームページを作ろう
こたつ記事は、効率よくコンテンツを量産できる反面、情報の質やユーザーへの信頼性という面で大きな課題を抱えています。特に、読者が求める具体的な情報や実体験に基づいた内容が欠けていると、また同じような記事かと感じられてしまう可能性があります。
読まれるホームページを作るためには、他では読めない自社ならではの視点や体験、考えを含めることが重要です。感想を添えたり、信頼できる情報源を引用するなど、ほんの少しの工夫がページ全体の印象を大きく変えてくれます。
情報の信頼性と読み手への誠実さを意識して、こたつ記事に頼らないコンテンツ作成を心がけることで、ユーザーから選ばれるホームページへと一歩近づくことができるでしょう。