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ゼロクリック検索が増加している理由と影響
ユーザーが検索エンジンで検索をしても、検索結果に表示された情報だけで満足し、Webページを開かないケースが増えています。これが「ゼロクリック検索」と呼ばれる現象です。情報を発信する側にとってゼロクリック検索は、ページがクリックされないことで流入のチャンスを逃す深刻な課題になります。
このページでは、ゼロクリック検索とは何か、増加の理由、Web運営者が取るべきSEOの考え方を解説します。
目次
ゼロクリック検索とは
ゼロクリック検索とは、ユーザーが検索結果に表示されている情報だけで満足し、ホームページへとアクセスしない検索行動を指します。たとえば、【今日の天気は】や【〇〇とは】といった検索に対して、検索エンジンが検索結果上に直接答えを表示するケースがこれにあたります。
ゼロクリック検索は、検索体験の利便性を高める一方で、情報を発信する側にとっては課題となります。本来なら自社サイトへの流入につながっていたはずのキーワードでも、検索結果上で完結されてしまえば、訪問される機会を失うことになります。
特に、定義や概要などの答えが一言で済む検索はゼロクリック化しやすく、従来のSEO手法が通用しにくくなっています。このような背景から、ゼロクリック検索への理解と対策は、Web運営者にとって避けて通れないテーマとなっています。
ゼロクリック検索が増加する理由
ゼロクリック検索はここ数年で急速に増えています。その背景には、検索技術の進化とユーザー行動の変化が大きく関係しています。ここでは、特に影響の大きい2つの理由を解説します。
AIによる概要で情報収集が完了している
Googleでは、検索クエリに対して、検索結果の上部にAIによる概要が表示されています。
これにより、ユーザーはホームページに訪問しなくても、知りたい情報を検索結果画面だけで得られるようになりました。これがいわゆるAIによるゼロクリック回答です。
ユーザーにとっては便利な機能ですが、Web運営者にとってはクリックされる機会が減るため、アクセス数やコンバージョンへの影響が無視できません。
このように、AIが生成する要約の精度向上と表示頻度の増加は、ゼロクリック検索を大きく後押しする要因となっています。
アンサーボックスが表示される数が増えている
もうひとつの大きな要因が、検索結果に表示されるアンサーボックスの増加です。アンサーボックスとは、検索結果の最上部に表示され、質問に対する直接的な回答を含んだボックスのことです。
Googleをはじめ、Yahoo!やBingなど主要な検索エンジンでは、信頼性の高いページや公式サイトの情報を引用して、このような回答ボックスを表示するケースが増えています。
アンサーボックスは非常に目立つ位置に表示されるため、ユーザーの視線を集めやすく、結果として通常の検索結果へのクリック率を下げる要因となっています。
特に、【〇〇とは】【△△の意味】といった情報系クエリでは、ユーザーがアンサーボックスで満足してしまい、下位のリンクまで到達しないことも珍しくありません。
また、アンサーボックスの出現頻度は年々増加しており、定義文やリスト、表などの形式で整理されたページが優先的に引用される傾向があります。そのため、単に上位表示されているだけでは十分ではなく、アンサーボックスに抜粋されるかどうかが、新たな競争軸となりつつあります。
Web運営者が知るべきゼロクリック検索の影響
ゼロクリック検索の増加は、ホームページのSEO対策に大きな影響を及ぼしています。ここでは、Web運営者が意識しておくべき代表的な影響を紹介します。
CTRが減少する
ゼロクリック検索の最大の影響は、検索結果に表示されていてもクリックされないことによるCTRの低下です。
ユーザーが検索結果ページ内のAIによる概要やアンサーボックスを見て満足してしまうため、従来ならアクセスが見込めていたページでも実際の訪問数が大幅に減少する傾向があります。実際に昨今では、1位表示されていてもCTRが10%を下回ることも珍しくありません。
CTRの低下はそのままコンバージョン数の減少にもつながるため、Web運営者にとって非常に深刻な問題です。
キーワード選定が難しくなる
ゼロクリック検索の増加により、これまで有効だったキーワードが成果につながらなくなるケースが出てきています。とくに、単純な定義系・説明系キーワードはAIによる概要やアンサーボックスに回収されやすく、上位を表示されてもアクセスにつながりにくい状況です。
そのため、Web運営者はどのキーワードで上位表示を狙うかをこれまで以上に慎重に見極める必要があります。情報クエリではなく、ユーザーが行動を起こす意図を持つ商用クエリや比較・検討型クエリにシフトするなど、ゼロクリックを回避する視点でのキーワード戦略が求められます。
ゼロクリック検索に対応するSEOの考え方
ゼロクリック検索が増える中で、従来のSEO手法だけでは成果が出にくくなっています。ここでは、ゼロクリック時代においてもユーザーに選ばれるためのSEOの考え方を解説します。
ゼロクリックになりやすいキーワードは避ける
ゼロクリック検索に最も影響を受けやすいのが、意味・定義・事実などを尋ねる情報型のキーワードです。たとえば、【〇〇とは】や【□□の年齢】、【△△の営業時間】といった検索は、AIによる概要やアンサーボックスによって、検索結果上に直接答えが表示されることが多くなっています。
このようなキーワードを狙ってコンテンツを作成しても、上位に表示されたとしてもクリックされる確率が低く、流入につながりにくいという課題があります。つまり、SEOで成果を出すには上位表示されるかどうかではなく、クリックされるかどうかを見据えたキーワード選定が重要になります。
対策としては、ユーザーが比較検討や意思決定を行う場面で使う、行動型・商用意図のあるキーワードを中心に選ぶことが有効です。検索意図が情報収集で完結するキーワードよりも、選び方や、メリット・デメリット、おすすめなど、クリックして深く知りたいというニーズがあるキーワードを優先しましょう。
構造化データをマークアップする
ゼロクリック検索に対応するには、検索エンジンがコンテンツの意味を正しく理解できるように構造化データをマークアップすることが効果的です。
FAQやHow-to、レビュー、製品情報などにschema.orgのマークアップを追加することで、アンサーボックスに表示されやすくなり、検索結果での視認性や信頼性が向上します。
これにより、ゼロクリックで終わってしまう検索においても、自社の情報が目立ちやすくなり、ブランド認知につながります。
Googleビジネスプロフィールを運用する
Googleビジネスプロフィールを活用することで、ローカル検索におけるゼロクリック対策が可能になります。
住所・電話番号・営業時間などの情報を正確に登録し、定期的に更新することで、Googleビジネスプロフィールが検索結果に表示され、ユーザーはその場で電話や来店などの行動をとりやすくなります。
Googleビジネスプロフィールは、ホームページにアクセスされなくても、電話予約や来店といった成果につながるケースも多く、実店舗を持つ企業にとって効果的な対策です。
AIやアンサーボックスでも魅力が伝わるコンテンツを作成する
ゼロクリック検索は、もはや避けられない現象となっています。そのため、AIによる概要やアンサーボックスに自社の情報が抜粋されることを前提に、検索結果に表示される一部のテキストだけでも魅力が伝わるようにすることが重要です。
とはいえ、どの部分が抜粋されるかをコントロールすることはできません。だからこそ、ページ全体にわたって自社の経験やノウハウ、独自の視点を盛り込んでおくことが大切です。どこが表示されても価値が伝わるようにしておけば、クリックされなかったとしてもユーザーに印象を残すことができます。
検索結果での第一印象がこれまで以上に重要になっている今、どこが抜粋されても価値が伝わるコンテンツが、ゼロクリック時代のSEOにおける重要な要素となります。
まとめ:ゼロクリック検索を意識したSEOのポイント
ゼロクリック検索は今後ますます増加していくと考えられ、Web運営者にとって無視できない存在になっています。検索結果に表示されるだけでは流入や成果につながりにくくなっている今、SEOに求められる視点も変わりつつあります。
情報提供型のキーワードはゼロクリックになりやすいため、キーワード選定の段階から戦略的に考えることが重要です。また、たとえクリックされなくても、自社の魅力が検索結果上で伝わるように、コンテンツの構成や表現方法を意識的に設計することが求められます。
ゼロクリック検索に対応するためには、クリックされる前提ではなく、検索結果上で価値を伝える前提でSEOを見直すことが求められます。ユーザーの行動を意識したコンテンツ設計を取り入れながら、成果につながるホームページを目指しましょう。