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ECサイトのCVR(コンバージョン率)とは?計算方法と改善方法

ECサイトのCVR(コンバージョン率)とは

ECサイトの成果を測るうえで欠かせない指標のひとつがCVR(コンバージョン率)です。しかし、実際の現場ではCVRという概念自体を意識していないケースも少なくありません。売上やアクセス数は把握していても、訪問者のうちどれだけの人が購入に至ったのかという視点が抜け落ちていることが多くあります。

本記事では、ECサイトにおけるCVRの基本、全体と商品ごとの計算方法、一般的な目安、そして改善する方法について解説します。CVRを正しく理解することで、ECサイトの現状を客観的に把握し、効果的な改善につなげることができます。

ECサイトのCVR(コンバージョン率)とは

ECサイトのCVRとは、Conversion Rate(コンバージョン率)の略で、訪れたユーザーのうち、実際に購入に至ったユーザーの割合を示す指標です。

たとえば、100人がECサイトに訪れ、そのうち3人が商品を購入した場合、CVRは3%となります。

ECサイト運営においてCVRが重要なのは、売上に直結する指標だからです。売上は大きく「集客数 × CVR × 購入単価」という式で表せます。

つまり、同じ集客数でもCVRが1%から2%に改善されれば、売上は単純に2倍に伸びる計算になります。広告予算を増やして流入を倍にするよりも、CVRを改善するほうが効率的に売上を伸ばせるのです。

さらにCVRは、ユーザー体験の良し悪しを客観的に測る指標でもあります。商品に魅力があり、ページが分かりやすく、購入導線がスムーズであればCVRは自然に高まります。逆に、ECサイトの設計の問題や情報不足であれば、CVRは低くなってしまいます。

このようにCVRは単なる数字ではなく、どれだけ効率よく売上を最大化できているかを示しているバロメーターです。ECサイトの改善を考えるうえで、まず最初に押さえておくべき基礎指標だと言えるでしょう。

ECサイトの平均CVRの目安

ECサイトのCVRがどれくらいなら良いのか、判断に迷う方も少なくありません。CVRは単に計算するだけでなく、業界や商材ごとの平均値を把握することで、自社サイトの状況をより正確に評価できるようになります。

一般的に、日本におけるECサイト全体のCVR平均は2.5〜3%とされています。ただしこの数値は、ジャンルや商品単価によって大きく異なります。

たとえば、食品や美容・パーソナルケアなど、低単価で日常的に購入されやすい商品はCVRが高くなる傾向があります。一方で、家具やジュエリーといった高額商品は購入までの検討期間が長くなるため、CVRが低くなる傾向があります。

さらに、年末年始やセール期間などの季節要因、広告出稿の有無、スマートフォン対応の状況といったECサイトの環境もCVRに影響を与えます。

そのため、単に平均値と比較するだけでなく、自社のビジネスモデルやターゲットに応じて柔軟に判断することが大切です。

以下は、Yaguara社の海外の調査データをもとにした業界別のCVR平均値です。自社と近いジャンルを参考に、現在の数値が適正かどうかの目安としてご活用ください。

業界・ジャンル コンバージョン率(CVR)
食品・飲料 6.86%
美容・パーソナルケア 4.92%
ファッション・アクセサリー・アパレル 3.56%
ペットケア・動物病院 3.40%
ホーム&家具 2.55%
ラグジュアリー&ジュエリー 1.33%

このように、ジャンルによってCVRは大きく異なります。数字の良し悪しに一喜一憂するのではなく、業界特性やECサイトの目的に合わせて総合的に判断することが重要です。

ECサイト全体のCVRを計算する方法

ECサイト全体のCVRは、次のシンプルな式で計算できます。

CVR = コンバージョン数 ÷ 訪問者数 × 100

ここでいうコンバージョン数とは、購入が完了した回数を指します。1回の注文で同じ商品を2点購入しても1件の購入としてカウントされ、複数の商品を同時に購入した場合も同様です。逆に、同じユーザーが別の日に2回注文した場合は2件の購入となります。

つまり、CVRは何点買ったかではなく、購入という行動が何回発生したかを基準にするのが一般的です。

訪問者数については、ユニークユーザー数を用いるのが一般的ですが、解析ツールによってはセッション数を分母とする場合もあります。どちらを基準にするかで数値は変わるため、自社ではどちらを採用するかを明確にしておくことが重要です。

具体例として、月間コンバージョン数が500件で、月間訪問者数が20,000人の場合、CVRは「500 ÷ 20,000 × 100 = 2.5%」となります。

この計算を行うことで、客観的な現状把握だけでなく、対策の効果検証にも役立ちます。

たとえば、商品ページを改善した結果CVRが2%から3%に上がったと分かれば、その取り組みが売上に貢献したと判断できます。さらに、広告投資とECサイトの改善のどちらに力を入れるべきかといった意思決定の材料にもなります。

CVRは単に数値を出すだけではなく、変化の理由を説明し、改善の方向性を決めるための指標として活用することが大切です。

商品ごとのCVRを計算する2つの方法

ECサイト全体のCVRだけでは、どの商品に改善の余地があるかは見えてきません。そこで効果的なのが、商品ごとのCVRを算出することです。ここでは、代表的な2つの計算方法を紹介します。

商品接触者数から計算する

商品ごとのCVRを算出する方法のひとつに、商品接触者数を分母にする計算があります。

ここでいう商品接触とは、ユーザーがその商品を購入できるチャンスのある状態で目にした機会を指します。たとえば、トップページや商品一覧ページ、商品詳細ページ、キャンペーンページなどで「カートに入れる」ボタンが表示されている場合が該当します。

一方で、単に商品画像だけを装飾的に掲載しているだけのページや、記事内で紹介されているが「カートに入れる」ボタンがない箇所は、商品接触には含めないのが一般的です。

計算式は以下のとおりです。

商品別CVR = その商品の購入件数 ÷ 商品接触者数 × 100

たとえば、ある商品が1,000回接触されて30件購入された場合、その商品のCVRは3%となります。

この方法の強みは、「露出された商品がどれだけ購入につながったか」を正確に測れることです。頻繁に表示されているのに売れない商品を特定できるほか、露出は少なくても購入率が高い隠れた人気商品を発見するのにも役立ちます。

結果として、商品ごとの訴求方法やプロモーションの見直しに直結し、限られたリソースで効率的に改善する判断材料となります。

商品詳細ページから計算する

もうひとつの方法は、商品詳細ページを閲覧したユーザー数を分母にする方法です。つまり、その商品に興味を持ち、詳細まで見たユーザーのうち、どれだけが購入に至ったかを測ります。

計算式は次のとおりです。

商品別CVR = その商品の購入件数 ÷ 商品詳細ページ閲覧数 × 100

たとえば、ある商品の詳細ページが500回閲覧され、そのうち25回購入された場合、CVRは5%となります。

この方法のメリットは、商品ページそのものの力を測定できることです。ページデザイン、商品画像、説明文、レビュー、価格表示といった要素が購入にどの程度つながっているかを評価できます。

もしアクセス数は多いのに購入につながらない場合、商品ページの改善が最優先課題だと判断できます。

ECサイトのCVRを改善する方法

ECサイトのCVRは、設計や集客の工夫次第で大きく変わります。ここでは、実際に効果が期待できる代表的なECサイトのCVR改善方法を紹介します。

商品の見せ方を改善する

EC氏とのCVRを改善するには、商品の見せ方が重要です。

トップページ、商品一覧ページ、商品詳細ページなど、ユーザーが接触するポイントで魅力が伝わらなければ、購入にはつながりません。

具体的には、商品画像を高品質にする、利用シーンが想像できる写真を用意する、説明文を分かりやすく整理する、レビューや評価を分かりやすく表示するなどが効果的です。

また、商品一覧ページでは並び順やフィルタ機能を改善することで探しやすさを高め、詳細ページでは在庫状況や配送日数を明確にすることで購入意欲を後押しできます。

こうした改善は、同じ流入数でもより多くのユーザーを購入に導けるため、費用対効果の高い対策になります。

購入導線を最適化する

ユーザーが商品に興味を持っても、適切に商品詳細ページへ誘導できなければ購入にはつながりません。

購入導線の最適化は、ユーザーがスムーズに欲しいと思った商品へたどり着き、迷わずカートに入れられるように設計することを指します。

具体的には、トップページや特集ページ、ブログ記事などから関連性の高い内部リンクを設置し、適切なタイミングで商品詳細ページへ誘導することが重要です。

さらに、商品詳細ページでは「カートに入れる」ボタンを視認性の高い位置に配置し、スマートフォンでもストレスなく押せる大きさやデザインに整える必要があります。

また、購入を後押しする情報が導線上に整理されていることも効果的です。配送日数や在庫状況、返品保証、レビューなどをカートボタン付近にまとめることで、ユーザーは不安を感じずに購入を決断できます。

導線を最適化することによって、「気になったけれど詳細情報にたどり着けなかった」「欲しかったのにカートに入れるボタンを見つけられなかった」といった無駄な離脱を防ぎ、CVRを改善できます。

かご落ち対策をする

カートに商品を入れたのに購入されないケースは、ECサイトでは頻繁に発生します。これを防ぐには、ユーザーが離脱する原因をひとつずつ減らすことが重要です。

代表的なのはリマインドメールの活用です。カートに商品を残したまま離脱したユーザーに対してカートに商品が残っていますと知らせるメールを送ることで、購入を思い出してもらい再訪を促せます。

また、手続きの煩雑さも大きな要因です。会員登録を必須にせずゲスト購入を可能にしたり、入力項目を最小限にする、エラーを分かりやすく表示するなどの工夫で離脱を防げます。

さらに、配送方法や決済手段の選択肢を増やすことで、使いたい方法がないからやめるという機会損失を防ぐことができます。

このように、かご落ち対策は、ユーザーが最後まで安心して購入できる環境を整えることです。こうした改善を積み重ねることでCVRが向上して売上を確実に伸ばせます。

信頼性を高める

ユーザーが安心して購入できるかどうかもCVRに直結します。たとえ商品が魅力的でも、ECサイト自体に不安を感じれば購入にはつながりません。

具体策としては、セキュリティ認証マークの表示、返品・交換保証の明示、送料や追加費用の分かりやすい提示、多様な決済手段の用意などがあります。さらに、会社情報や問い合わせ先を明記し、レビューや実績を掲載することで信頼感を補強できます。

こうした取り組みにより、このECサイトで買って大丈夫という安心感が購買意欲を後押しするのです。

集客の質と量を見直す

CVRが低い原因は、ECサイト自体ではなく、誰を集めているかに問題がある場合もあります。見込み顧客ではないユーザーを集めてしまうと、どんなにECサイトを改善しても成果は上がりません。

広告であればターゲティングの精度を高め、SEOでは購買意欲の高いキーワードで上位表示を狙うことが重要です。また、そもそもの訪問者数が少なければCVRのデータも安定しないため、集客量を増やす対策を並行して行う必要があります。

質と量を見直すことで、買う可能性が高いユーザーを増やし、効率的に売上を拡大できるようになります。

会員登録を促してリピーターを育てる

一度の購入だけで終わらせず、リピート購入につなげることもCVRの改善に効果的です。

会員登録を促し、定期的にアプローチできる状態を作ることで、購入機会を継続的に増やせます。また、会員特典として、ポイントの還元、送料無料、会員限定セールなどを用意すると登録率が高まります。

登録後はメルマガやLINE配信で新商品やセール情報を案内し、再購入を後押しするのが効果的です。

この取り組みにより、一度の集客コストで複数回の購入につなげられるため、LTV(顧客生涯価値)を高め、安定した売上基盤を築けます。

まとめ:ECサイトのCVRは改善の積み重ねが大切

ECサイトのCVRは、一度の対策で劇的に改善するものではありません。

商品の見せ方、購入導線、かご落ち対策、信頼性の向上、集客の質や量、リピーター対策に少しずつ手を加え、検証と改善を繰り返すことが成果につながります。

重要なのは、数値を正しく測定し、改善の仮説を立て、効果を検証して次につなげるサイクルを継続することです。これを積み重ねることで、CVRは確実に上昇し、広告費や集客コストを増やさずとも売上の最大化が可能になります。

数値を味方につけ、日々の改善を継続していくことが、ECサイトを成長させる最短ルートと言えるでしょう。

本記事で紹介したように、ECサイトのCVRの改善には継続的な対策と検証が欠かせません。当社では、売上につながるネットショップ作成サービスを提供しており、購入導線の最適化やかご落ち対策、スマートフォン対応など、CVRの向上に直結する機能を標準搭載しています。これからネットショップを始めたい方も、既存のECサイトを改善したい方も、ぜひ当社のネットショップ作成をご検討ください。
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