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ECサイトのリピート率を高める方法と計算の仕方、業界別の平均値
ピーターは、新規顧客に比べて購買意欲が高く、売上が安定しやすくなるため、ECサイトにおいて重要な存在です。また、リピート率を高めることで、集客コストを削減し、顧客満足度を高める効果も期待できます。
このページでは、リピート率を向上させるための方法や、リピート率の計算の仕方、業界別の平均値を紹介します。ECサイトの改善を目指している方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
ECサイトのリピート率の重要性
リピート率は、ECサイトの売上を安定させるうえで欠かせない重要な指標です。
新規顧客の獲得には、集客のために多くの手間や予算がかかりますが、一度購入した顧客に再訪してもらうためには、そこまで大きなコストはかかりません。
加えて、リピーターは心理的なハードルが低く、購入につながりやすいのが特徴です。すでに購入経験があることで、商品への理解や信頼が深まっており、継続利用の可能性が高くなります。
こうした背景から、ECサイトにおいてリピーターは安定した売上を支える存在として重要視されています。ECサイトでは一度きりの購入で終わらせず、顧客が継続的に利用したくなる仕組みを整えることが求められます。
具体的には、魅力的な特典の提供や使いやすいホームページデザイン、さらには顧客ごとのニーズに応じた丁寧なコミュニケーションが重要となります。また、リピート率を高めるための対策は業界や商材によって異なるため、自社の商品やターゲット層に合わせた対策を選ぶことが大切です。
リピート率の重要性をしっかりと理解し、効果的な対策を実践することで、競争の激しいEC市場でも安定した売上基盤を築くことが可能になります。
ECサイトのリピート率を上げるメリット
リピート率を上げることで、ECサイトの収益性が飛躍的に向上します。ここでは、リピート率を向上させることで得られるメリットを解説します。
売上の安定につながる
リピーターが一定数存在することで、日々の売上が大きく変動しにくくなり、ECサイトの経営が安定します。
新規顧客の獲得に頼った売上構成では、広告やキャンペーンの効果次第で成果が大きく上下するリスクがありますが、リピーターは定期的に購入してくれるため、プロモーションに左右されずに一定の売上を確保できます。
特に、健康食品や日用品、サブスクリプション型の商品など、継続的な利用が前提の商品においては、リピーターの存在が売上の基盤を支えます。また、リピーターによる安定的な売上があることで、売上予測が立てやすくなり、在庫管理やプロモーションの計画が立てやすくなります。
このように、リピーターは売上がゼロに落ち込むリスクを減らす存在であり、ECサイトの売上基盤を支える重要な顧客層といえるでしょう。
売上に直結する顧客を集客できる
リピーターはすでに商品の良さを理解しており、購入意欲が高いため、訪問すれば購入につながる可能性が高い顧客層です。こうしたリピーターを集客することで、効率よくECサイトの売上を伸ばすことができます。
また、リピーターは過去の購入履歴や行動データをもとにアプローチできるため、購入の可能性が高い顧客に絞った集客が可能です。たとえば、特定の商品を購入した顧客に関連アイテムを紹介したり、利用頻度に応じたリマインドを送ったりといった対策により、確度の高い集客が実現できます。
このように、売上に直結する顧客を狙って集められる点は、リピーターの大きな強みと言えます。
ネットショップの品質が高まる
リピーターの行動や反応を観察することで、ECサイトの課題や改善点がより明確になります。
たとえば、リピーターがどのページで離脱しているのか、どんなタイミングで購入しているのかといった情報は、UIや導線設計の見直しに直結します。また、リピーターからの問い合わせは、商品説明のわかりにくさやサポート体制の不足といった改善すべき点を浮き彫りにしてくれる貴重なフィードバックになります。
こうした声を積極的に活用することで、ホームページの使いやすさや顧客体験の質を高め、結果的に新規顧客やリピーターの満足度向上につながります。
このように、リピーターの存在は単に売上だけでなく、ネットショップの品質を引き上げる力を持っています。
お客様の声で新規購入とリピート率が高まる
リピーターによるお客様の声は、実際に継続利用しているという信頼性の高い証言となり、新規顧客の購入を後押しする大きな材料になります。「何度もリピートしている人がいる」という事実が、商品の満足度の高さを伝え、初回購入の不安を和らげる効果が期待できます。
さらに、リピーターに対して「お客様の声の投稿でポイント付与」や「次回使えるクーポンの提供」などの特典を用意することで、多くのポジティブなお客様の声を集めやすくなります。
このような取り組みによって、リピーターが新規顧客の獲得に貢献するだけでなく、自身もECサイトを再利用するきっかけとなり、新規顧客の獲得とリピート率の向上につながる好循環が生まれます。
集客にかかる手間とコストを抑えられる
新規顧客を集めるには、広告出稿やSEO対策、キャンペーン設計など、かなりの手間とコストがかかります。一方で、リピーターはすでに商品やサービスの価値を理解しているため、メールでのリマインドやポイントの提供など、比較的シンプルな対策でも再訪を促しやすいのが特徴です。
このように、リピーターへの集客は少ない手間とコストで成果が出やすく、結果として、浮いたリソースをサイト改善や商品開発といった他の重要な対策に充てることができます。
リピーターの存在は、売上の安定化だけでなく、運営全体の効率を高める要因にもなるのです。
マーケティングデータを収集できる
リピーターは、過去の購入履歴や閲覧履歴、利用頻度などの行動データが蓄積されやすいため、マーケティングに活用できる有益な情報源となります。新規顧客と比べて接点が多く、データの精度も高いため、より深い顧客理解が可能になります。
たとえば、どのタイミングで購入しているのか、どのような商品と一緒に購入されているのかといった傾向を分析することで、クロスセルやアップセルの戦略が立てやすくなります。また、過去の行動に応じたクーポン配信やパーソナライズされたリマインド通知など、精度の高いプロモーションも実現できます。
このように、リピーターから得られるデータは、リピート促進だけでなく、新規顧客への提案精度の向上やサイト全体の改善にも役立ちます。マーケティング戦略をデータドリブンに進化させるうえで、リピーターは欠かせない存在です。
ECサイトにおけるリピート率の計算方法
リピート率は、次の計算式で求めることができます。
リピート率(%)= リピーター数 ÷ 新規顧客数 × 100
たとえば、新規顧客数が1,000人で、そのうち200人が再購入していれば、リピート率は「200 ÷ 1,000 × 100」で20%となります。
この数値を把握することで、新規顧客のうちどの程度が再購入につながっているかを可視化でき、ECサイトの売上をさらに高めるための具体的な対策を検討する材料になります。
もしリピート率が低い場合は、再購入につなげる対策が不足している可能性があります。たとえば、会員限定特典、クロスセル提案、購入後のフォローアップメールなどの導入が効果的です。
なお、業界や商材によってリピート率の目安は異なるため、数値の評価には業界平均との比較が役立ちます。
業界別に見たリピート率の平均値
リピート率は業界ごとに大きく異なります。適切なリピート率を目指すには、まず自社の数値を把握し、業界全体の平均と比較することが重要です。ここでは、主要な業界ごとのリピート率を解説します。
また、平均値は、通販CRMラボのECサイトの平均リピート率は?の記事を参考にしています。
ECサイト全体 | ECサイト全体の平均リピート率は約15~18%とされています。 これは、購入後に特別なフォローを行っていない場合の数字です。 購入後のフォローを徹底しているECサイトでは、リピート率が30~40%にまで向上すると言われています。 |
健康食品・化粧品業界 | 健康食品や化粧品を扱うECサイトでは、リピート率が約50%とされています。 これらの商品は消耗品であり、定期的な購入が必要となるため、リピート率が高くなる傾向があります。 |
アパレル業界 | アパレル業界の平均リピート率は約35%です。 一度購入した顧客がブランドに満足すれば、継続的に利用してもらえる可能性が高いのが特徴です。 ブランド力の高いECサイトではリピート率が約50%になる場合もあります。 |
スーパーマーケット | スーパーマーケットでは、食品や日用品といった定期的に購入される商材を扱うため、リピート率は約30~50%と高い水準にあります。 ただし、商品によってリピート率にばらつきがあります。 |
家電業界 | 家電業界のリピート率は約25%程度と低めです。 これは、パソコンやテレビ、洗濯機といった高額商品が中心で、頻繁に購入する必要がないためです。 |
旅行業界 | 旅行業界のリピート率は約45%と高い水準にあります。 次回の手続きが簡略化されることや会員登録による利便性が理由の一つです。 |
インテリア業界 | インテリア業界の平均リピート率は約25~35%です。 一度購入すると長期間使用する商品が多く、購入頻度が低くなるからです。 |
自社のリピート率が業界平均を下回っている場合は、課題を洗い出し、後述する対策を行うことが重要です。また、平均以上であっても、現状に満足せず改善を続けることで、より安定した売上基盤の構築につながります。
業界データをひとつの指標として活用し、継続的な改善に取り組んでいきましょう。
ECサイトのリピート率を高める方法
ECサイトのリピート率を高めるには、顧客に再訪を促し、継続的な購入をサポートする仕組みが必要です。適切な対策を講じることで、顧客満足度を向上させ、売上の安定化につなげることができます。ここでは、効果的なリピート率を高める方法を紹介します。
会員登録を行うメリットを打ち出す
会員登録は、リピート率を高めるための第一歩となります。
登録時にポイントやクーポンを付与したり、会員限定の特典を提供することで、会員登録率を向上させることができます。これにより、顧客が自社のサービスを積極的に利用するきっかけを作ることが可能です。
さらに、購入頻度や金額に応じた会員ランク制度を導入することで、顧客に、もっと特典を受けたいというインセンティブを与えられます。たとえば、VIP会員限定のセールや特別商品の案内は、リピーターとしての行動を促進するための効果的な手段です。
メルマガを配信する
メルマガは、リピート購入を促すための低コストかつ効果的な方法です。
新商品やセール情報を配信するだけでなく、購入履歴をもとにした個別のおすすめ商品を紹介することで、顧客の関心を引きやすくなります。また、季節ごとのキャンペーンや期間限定オファーを通じて緊急性を演出することで、再訪率を向上させることができます。
アプリを制作する
ECサイトのアプリは、リピート率を高めるうえで効果的なツールです。
アプリからプッシュ通知を送ることで、セール情報や新商品の案内など、タイムリーな情報を直接顧客に届けられます。これにより、ユーザーの関心を引き、再訪や再購入を促すことができます。
また、アプリには簡単にログインできる仕組みを用意し、購入履歴やお気に入り商品の表示をスムーズに行えるようにすることが重要です。これにより、過去に購入した商品の再注文や類似商品の検討がしやすくなり、リピート購入を後押しします。
さらに、アプリとホームページでクーポンやポイントなどの会員特典を共通化することで、どちらからでも同じように利用できるようにしましょう。たとえば、どちらで買い物をしても同じポイントが貯まり、アプリ限定クーポンもホームページで使える仕組みがあれば、ユーザーはストレスなく買い物できます。
クロスセルとアップセルを活用する
クロスセルとアップセルの対策は、リピート購入を促す効果的なアプローチです。
たとえば、メルマガで購入履歴をもとに関連商品や上位モデル、セット商品を提案することで、顧客の興味を引き、「次回はこれも試してみよう」といった再訪や再購入の動機につなげることができます。
また、「この商品を買った人はこんな商品も購入しています」といった購買傾向を活用したレコメンドをサイト上に表示することで、顧客満足度を高めることができ、競合サイトへの離脱を防ぎやすくなります。
クロスセルをさらに詳しく知りたい方は、関連記事のクロスセルを活用してECサイトの成果を伸ばす方法もあわせてご覧ください。
会員向けの情報を適切に配信する
リピーターを増やすには、会員に向けて有益な情報をタイミングよく届けることが大切です。
たとえば、再入荷のお知らせやセール開始の通知などをメールやプッシュ通知で配信すれば、「今すぐ見に行こう」と思わせるきっかけになります。また、会員限定の新商品情報やクーポンを発信することで、特別感を演出し、再訪・再購入の動機づけにつながります。
このように、会員に向けた情報を適切なチャネルとタイミングで届けることがリピート率の向上に直結します。
サイト全体を改善する
顧客がスムーズに商品を購入できるよう、サイト全体の使いやすさを見直すことも重要です。
特に、マイページの充実は、顧客満足度を高めるための基本的な対策です。また、ページの表示速度を改善することで、ユーザー体験を向上させるだけでなく、検索エンジンの評価向上にもつながり、リピート率を上げる効果が期待できます。
まとめ:ECサイトのリピート率を高めて売上の安定化を図ろう
ECサイトのリピート率を高めることは、売上の安定化や集客コストの削減に直結します。
本記事では、リピート率の計算方法や業界別の平均値、具体的な対策を解説しました。リピート率を向上させるためには、会員登録やメルマガ配信、アプリの活用といった顧客接点を強化する対策が効果的です。
自社の課題に合った対策を実践し、競争が激しいEC市場での収益基盤を構築しましょう。適切な対策を取り入れることで、長期的な顧客関係の構築につながります。