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ECサイトの不正注文とは?手口と対策、検知ツールを紹介
ECサイトの運営には、商品登録や集客力の強化などだけでなく、不正注文への対策も欠かせません。不正注文は売上の損失だけでなく、決済機能の停止や顧客対応の負担にもつながる重大なリスクです。
この記事では、不正注文の手口や狙われやすい商材、被害を防ぐための対策と検知ツールについて紹介します。
目次
ECサイトの不正注文とは
ECサイトの不正注文とは、不正な手段で注文を行い、EC事業者に損害を与える行為を指します。
代表的な例としては、盗用されたクレジットカード情報による購入や、商品を転売目的で大量に注文して支払いを行わないケースなどが挙げられます。不正注文は、金銭的な被害だけでなく、在庫管理や顧客対応などの業務負担を増やし、決済サービスの利用停止など二次的なリスクにもつながります。
安全にECサイトを運営するためには、不正注文のパターンを理解し、早期に検知・対策できる仕組みを整えることが欠かせません。
不正注文を受けるデメリット
ECサイトで不正注文を受けると、売上だけでなく運営面にも深刻な影響を及ぼします。ここでは主な3つのデメリットを紹介します。
代金未回収のリスク
不正注文による典型的な被害のひとつが、売上の未回収です。
たとえば、取り込み詐欺と呼ばれるケースでは、注文者が商品を受け取った後に支払いを行わず、商品と代金の両方が失われます。このような行為は意図的かつ悪質であることが多く、販売側が被害に気づいたときにはすでに発送が完了していることも少なくありません。
販売者は正当な対価を得られないまま、損失だけを抱えることになります。
運用管理の負担増加
不正注文が繰り返されると、注文処理・在庫管理・キャンセル対応といった業務の負担が大きくなります。たとえば、注文とキャンセルが頻繁に発生すると、出荷準備や在庫調整などの作業が無駄になり、担当者の工数が膨らみます。
通常業務と並行して不正に対応する必要があるため、業務の効率が低下し、スタッフの精神的な負担を増す恐れがあります。
クレジットカード決済の利用停止リスク
不正注文がクレジットカードの不正利用に関連していた場合、決済代行会社から、契約の解除といった措置を取られる可能性があります。チャージバックと呼ばれる強制返金が多発すると、ECサイト全体の信頼性が疑われ、決済手段そのものを失うことにもつながります。
決済手段が使えなくなると、顧客の購入機会を逃し、売上にも深刻な影響を及ぼす結果となります。
ECサイトで不正注文されやすい商材
不正注文は、どのような商品でも発生する可能性がありますが、特に狙われやすい商品には一定の特徴があります。ここでは不正注文の対象になりやすい商材を紹介します。
価格の安い商品
価格が安い商品は、不正注文ユーザーにとって損失リスクが低く、転売などの対象になりやすい傾向です。
たとえば、数百円から数千円程度の雑貨や生活用品は、仕入れコストがかからない分、転売によって利益を得やすく、万が一失敗しても損害が小さいため、不正購入のハードルが低くなります。
さらに、店舗側にとっても少額であるがゆえに見過ごされやすく、結果的に繰り返し不正の標的にされるケースもあります。
転売がしやすい商品
需要が高く再販価値のある商品は、不正ユーザーによる転売目的の大量注文が発生しやすくなります。たとえば、人気のファッションアイテムや限定品、ゲーム関連商品、人気キャラクターグッズなどが該当します。
こうした商品はメルカリやオークションサイトなどで簡単に現金化できるため、不正に利用されやすい傾向があります。特に新商品や話題性のあるアイテムは、リリース直後に集中して不正注文が入りやすく、在庫確保や販売機会の損失につながります。
ECサイトの不正注文の手口
ECサイトで行われる不正注文には、いくつかの典型的な手口があります。ここでは、特に被害が多い4つのパターンについて解説します。
クレジットカードの不正利用
盗用されたクレジットカード情報を使って商品を購入する手口です。カード所有者の知らないうちに注文が行われ、商品は不正利用者の手元に届きます。後にカード会社を通じてチャージバックが発生し、販売者は商品を失った上に売上も戻らず、二重の損害を受けることになります。
特に、高額商品や配送の追跡が困難な場合は、被害が大きくなりやすいのが特徴です。
転売目的の大量購入
需要の高い商品を不正に大量購入し、他のプラットフォームで転売して利益を得る行為です。特に数量限定品や人気ブランドの商品は狙われやすく、購入時に複数アカウントを使用して制限を回避するケースもあります。
大量の注文で正規の顧客が購入できなくなり、ブランドイメージの低下やクレームにつながる恐れもあります。
後払い時の未払い
商品を先に受け取り、後から支払う後払い決済を悪用する手口です。不正購入のユーザーが架空の名義や実在する他人の情報を使って注文を行い、商品を受け取った後に支払いを行わないまま連絡が取れなくなります。
後払いサービス提供会社によっては未回収金を補填する場合もありますが、過剰な未払いが続くとEC事業者側に請求が発生するリスクもあります。
代引きの受け取り拒否
代引き決済で注文し、商品が届いても受け取りを拒否するケースです。受取拒否により商品は返送されますが、送料・代引き手数料・人件費などがすべてEC事業者の負担となり、損失が発生します。
悪質な場合は複数回にわたって同じことを繰り返されることもあり、運用上のコストと精神的な負担の両面で影響が出やすいのが特徴です。
ECサイトでの不正注文を防ぐ対策方法
不正注文を未然に防ぐには、セキュリティ対策を複数組み合わせて実施することが重要です。ここでは、ECサイトで導入しやすい3つの方法を紹介します。
3Dセキュアを導入する
3Dセキュアは、オンライン決済時に追加の本人認証を行う仕組みで、カード所有者本人しか使えない環境をつくることで、不正利用のリスクを大幅に低減できます。
クレジットカード会社が提供するこの仕組みでは、購入時にワンタイムパスワードや事前登録されたパスワードの入力が必要になるため、盗用されたカード情報だけでは決済が完了しません。
多くの決済代行サービスが対応しており、手軽に導入できるのもメリットです。
セキュリティコードを導入する
セキュリティコードは、クレジットカード裏面に記載されている3桁または4桁の番号です。このコードを入力させることで、実際にカードを所持していないと決済できない仕組みを作ることができます。
カード番号や有効期限だけでは不正利用できなくなるため、第三者による不正注文を防ぐうえで効果的です。
不正注文検知システムを導入する
不正注文検知システムは、注文情報や購入者の行動データをもとに、怪しい取引を自動的に検出するツールです。IPアドレス、注文頻度、配送先の異常など複数の要素を組み合わせてスコアリングし、リスクが高い注文を保留または警告対象として処理できます。
これにより、明らかな不正注文を事前にブロックするだけでなく、担当者の確認作業も効率化されます。
ECサイトの不正注文を防ぐおすすめの検知ツール3選
不正注文への対策は人の目だけで対応するには限界があります。近年では、高精度な不正検知ツールを導入することで、被害を未然に防ぐ企業が増えています。ここでは、ECサイトに導入しやすく、実績のある3つの不正注文検知サービスを紹介します。
O-PLUX
O-PLUXは、不正注文をリアルタイムで判定するクラウド型の不正検知システムです。注文時点で不審な挙動を検出し、商品を発送する前にストップできるのが大きな特長です。累計11万サイト以上への導入実績があり、システム内で共有された不正データをもとに、常に最新の手口に対応しています。
電話番号の利用状況や賃貸住宅の空室情報など、独自の外部データも活用して判定を行い、通常の注文データだけでは見抜けないケースにも対応しています。さらに、複数アカウントを使って注文を繰り返すユーザーを1人の人物として特定する名寄せ機能も備えており、悪質な転売対策にも有効です。
ASUKA
ASUKAは、クレジットカード決済の不正利用対策に特化した不正検知・認証システムです。過去の不正データをベースにした独自のアルゴリズムと機械学習により、最新の不正パターンにも迅速に対応できます。申込から最短1〜2週間で導入可能というスピードも強みで、早期に導入したい企業にも適しています。
また、本人認証機能を通じて決済完了前に不正アクセスをブロックできるので、チャージバックのリスクを軽減できます。さらに、判定プロセスの多くが自動化されているため、担当者による目視確認の手間も減らせます。
Sift
Siftは、世界34,000以上のサイトやアプリで導入されている大規模な不正検知ソリューションです。用途や業種に応じて選べる複数のプロダクトを提供しており、ECサイトの不正注文対策としても高い評価を得ています。
AIモデルを活用して不正ユーザーの行動パターンをリアルタイムで分析し、クレジットカードの不正利用やアカウント乗っ取り、限定商品の大量購入など、さまざまな不正行為に対応しています。ユーザーのサイト内での行動を16,000項目以上のデータで解析し、精度の高いリスク判定を行います。
導入後のサポートも手厚く、初めての導入でも安心して運用できます。
まとめ:ECサイトの不正注文対策は必須
不正注文は、売上の損失や運営負荷の増加、決済手段の停止など、ECサイトにとって深刻なリスクとなります。特にクレジットカードの不正利用や転売目的の大量注文は、実際に多くの事業者が被害を受けている現実的な問題です。
こうした被害を防ぐためには、3Dセキュアやセキュリティコードの導入といった基本的な対策に加え、不正注文検知ツールを活用して早期にリスクを察知することが重要です。検知システムは導入するだけで効果を発揮するものも多く、運用の負担を軽減しながら安全性を高める手段として有効です。
被害を未然に防ぎ、安心して運営できるECサイトを実現するためにも、自社に合った不正注文対策を早めに検討しましょう。