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リスティング広告のCTRを高める方法と業界平均
リスティング広告の成果を大きく左右する指標のひとつがCTRです。CTRが高ければ同じ予算でも多くのユーザーをホームページへ呼び込み、成果につなげられます。
この記事では、リスティング広告のCTRとは何か、業界別平均、高める方法、注意点を解説します。
目次
リスティング広告のCTRとは
CTRとは、リスティング広告が表示された回数のうち、実際にクリックされた割合を示す指標です。計算式は「クリック数 ÷ 表示回数 × 100」で求められ、広告運用における最も基本的かつ重要な数値のひとつです。
リスティング広告においてCTRが高いということは、それだけユーザーに「この広告は自分に関係がある」と思われ、行動を起こしてもらえている証拠です。逆にCTRが低ければ、表示されていてもユーザーの関心をつかめていない可能性が高く、本来得られるはずのクリック機会を逃している状態といえます。
CTRの優れている点は、リスティング広告の効果をシンプルに数値化できることです。数値をチェックするだけで、広告文やキーワードの適切さ、ターゲティングの精度などを客観的に把握できます。
そのため、日々の改善サイクルを回すうえで最初に確認すべき指標といえるでしょう。
さらに、CTRは単なるクリックの割合にとどまらず、広告ランクや品質スコアにも影響する要素です。つまりCTRを高めることは、クリック数を増やすだけでなく、掲載順位の改善やクリック単価の引き下げにもつながり、結果としてリスティング広告全体の費用対効果を押し上げる要因になります。
リスティング広告の業界別平均CTR
以下は、リスティング広告における業界別の平均CTRです。
業界 | リスティング広告 |
デート・パーソナル | 6.05% |
旅行・ホスピタリティ | 4.68% |
自動車 | 4.00% |
教育 | 3.78% |
不動産 | 3.71% |
健康・医療 | 3.27% |
法的サービス | 2.93% |
金融・保険 | 2.91% |
Eコマース | 2.69% |
B2B | 2.41% |
テクノロジー | 2.09% |
参考:Google Ads Benchmarks for YOUR Industry [Updated!] | WordStream
リスティング広告は、ユーザーが検索行動をしているタイミングで表示されるため、ディスプレイ広告などに比べてCTRが高くなる傾向があります。
ただし、CTRは業界ごとに大きな差があるのが特徴です。
たとえば、「デート・パーソナル」や「旅行」といったBtoC向けの業界は、検討期間が短く衝動性が高いためCTRも高めに出やすい傾向があります。一方で「B2B」や「テクノロジー」といった分野は、検討期間が長く複数人で意思決定するケースが多いため、平均CTRは低めになります。
このように、自社のCTRを評価するときは「業界平均と比較してどうか」を見ることが重要です。平均より低ければ改善余地があると判断できますし、平均を上回っていれば運用がうまくいっている目安になります。
リスティング広告でCTRを意識すべき理由
リスティング広告は表示されるだけでは成果につながりません。クリックしてもらえるかどうかが、広告効果を大きく左右します。CTRを意識することで、最終的な成果やコスト効率が大きく変わってきます。ここでは、CTRを高めることで得られるメリットを紹介します。
コンバージョン数を増やせる
CTRが高ければ、それだけ多くのユーザーがリスティング広告からホームページへ訪問します。母数が増えることで、当然コンバージョンの機会も広がります。
たとえば、同じ10,000回の表示でCTRが2%ならクリック数は200件ですが、CTRが4%になれば400件に倍増します。仮にコンバージョン率が同じ2%だとすると、成果数は4件から8件に増える計算です。
このようにCTRは、直接的にコンバージョン数を押し上げる要因となります。
少しの改善でも成果の伸びに直結するため、リスティング広告の運用担当者にとって、最も優先して取り組むべき改善ポイントといえるでしょう。
クリック単価を抑えられる
CTRはGoogle広告の品質スコアに影響し、最終的にはクリック単価にも直結します。品質スコアは「広告の関連性」「ランディングページの利便性」と並んで、「CTR」が大きな要素を占めています。CTRが高い広告はユーザーにとって有益と評価され、同じ入札額でも掲載順位が上がりやすくなります。
Yahoo!広告では品質スコアという仕組みはありませんが、CTRが高い広告はオークションでの評価が高まりやすく、結果的にクリック単価を抑えつつ露出が確保しやすくなります。
つまり、媒体を問わずCTRを改善することは、クリック単価を下げながら成果を伸ばすことにつながり、広告費の効率を高めたい場合に効果的な手段のひとつといえます。
リスティング広告でCTRを高める方法
CTRは自然に上がるものではなく、意識して改善を重ねる必要があります。ここでは、リスティング広告の運用でCTRを高める方法を紹介します。
広告の配信ターゲットを見直す
リスティング広告がどんなに魅力的でも、興味のないユーザーに表示されてしまえばクリックされません。
地域、時間帯、デバイス、年齢、性別といった属性を適切に絞り込むことで、リスティング広告を「本当に見てほしい人」に届けられます。
たとえば、BtoB向けサービスなら平日日中のPC配信を強め、逆にエンタメ系やECサイトなら夜間やスマホに寄せるとCTRが改善するケースがあります。
このように配信ターゲットを見直すことで無駄な表示を減らし、CTRを効率的に高めることができます。
最適なキーワードを選定する
リスティング広告は検索キーワードと密接に結びついています。検索意図に合っていないキーワードで広告を出しても、クリックされにくく、CTRは低下します。
具体的には、ビッグキーワードだけでなく、ユーザーの意図がはっきりしているミドル・ロングテールのキーワードを組み合わせるのが効果的です。
また、部分一致やフレーズ一致を使う際は、検索クエリーレポートで実際に表示されたキーワードを定期的に確認し、不要な語句を除外キーワードに設定することがCTRの改善につながります。
キーワードごとに魅力的な広告文を作る
同じ広告文をすべてのキーワードに流用すると検索意図とのズレが生まれ、CTRは下がります。ユーザーが入力したキーワードに合わせて広告文を調整することが重要です。
たとえば、【クラウド会計ソフト 無料体験】というキーワードなら、広告文に「30日間無料体験実施中」と入れることで、検索意図と関連性を持たせられ、クリックされやすくなります。
また、タイトルには導入実績5,000社以上、最短5分で登録完了などのユーザーの利益を盛り込むと、説得力と目立ちやすさが増します。
広告の掲載順位を上げる
検索結果の上位に表示されるほどCTRは高まります。1位と3位ではCTRに数倍の差が出ることもあります。
掲載順位を上げるためには単純に入札額を上げるだけでなく、品質スコアの改善が不可欠です。広告文の関連性を高め、ランディングページの利便性を最適化することで、少ない入札でも上位表示を狙えます。
結果として、クリック単価を抑えながらCTRを改善することができます。
広告表示アセットを利用する
リスティング広告では広告表示アセットを活用することでCTRを大きく改善できます。
アセットを設定すると、リスティング広告にサイトリンク・電話番号・住所・コールアウト・テキスト補足情報などの追加要素を表示でき、検索結果での存在感が高まります。
たとえば、サイトリンクで「料金プラン」「無料デモ」などを並べれば、ユーザーが知りたい情報に直接アクセスできるためクリック率が上がります。電話番号や住所を表示すれば、来店や問い合わせのハードルを下げることも可能です。
広告表示アセットは設定するだけで効果が期待できる改善策であり、Google広告・Yahoo!広告いずれにおいても他社との差別化につながります。
リスティング広告のCTRに関する注意点
CTRはリスティング広告の改善に役立つ重要な指標ですが、それだけを追いかけてしまうと誤った判断につながることもあります。ここでは、CTRを見る際に気をつけたいポイントを紹介します。
CTRだけで広告効果を判断しない
CTRが高いリスティング広告でも、必ずしも成果につながるとは限りません。
たとえば、派手な広告文や過度な煽り表現を使えばクリック率は上がりますが、内容と合致していなければユーザーはすぐ離脱し、コンバージョンには至りません。
リスティング広告の最終的な目的はクリックではなく成果です。
CTRはあくまで入口の指標であり、CPAやROASといった指標と合わせて判断することが欠かせません。
平均CTRはあくまで目安になる
業界ごとにCTRの傾向は異なります。たとえば、旅行やECといったBtoC向け業界は比較的高めに出やすいのに対し、BtoBや金融などは低めになる傾向があります。
ただし、業界平均は参考値にすぎません。CTRはホームページや検索キーワードごとに大きく異なります。
購入意欲の高い具体的なキーワードならCTRは高くなりやすく、情報収集系のキーワードなら低く出ることが一般的です。
そのため、自社のリスティング広告を評価するときは業界平均を基準点としつつ、自社が扱うキーワードやターゲット層を踏まえて判断することが重要です。
短期的な数値に惑わされない
リスティング広告を出稿した直後やキャンペーン開始初期は、CTRが安定しないことがよくあります。配信アルゴリズムが学習していない段階では、一時的に高すぎたり低すぎたりする数値が出やすいからです。
そのため、短期的な数値に振り回されるのではなく、ある程度の配信ボリュームや期間を経た平均値で判断することが大切です。
特に入札調整や広告文の変更は、数日のデータだけで結論を出さず、1〜2週間単位の推移を確認してから行うと精度が上がります。
まとめ:リスティング広告はCTRの改善で成果が変わる
CTRはリスティング広告において単なる数値ではなく、成果全体を左右する重要な指標です。CTRを改善することでクリック数が増えるだけでなく、コンバージョンのチャンスの拡大やクリック単価の抑制につながり、広告費の効率を大きく高められます。
平均CTRは参考にはなりますが、最終的に重要なのは自社のキーワードやターゲットに即した実データです。日々の運用の中でCTRをチェックし、広告文・キーワード・配信設定を継続的に改善していくことで、同じ予算でも得られる成果が確実に変わってきます。
CTRは、改善すれば比較的早く効果が見える数少ない指標です。今日からでも改善に取り組み、リスティング広告の費用対効果を最大化していきましょう。