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絶対パスと相対パスとルートパスの違いと書き方

絶対パスと相対パスとルートパスの書き方

ホームページの制作や運営において、パスの理解は基本でありながら重要な要素の一つです。絶対パス、相対パス、ルートパスはそれぞれ仕組みが異なり、使う場面によって適切な書き方があります。

本記事では、3つのパスの違いや書き方に加えて、実務での使い分け方についても解説します。

そもそもパスとは

ホームページ制作におけるパスとは、画像やCSS、リンク先のHTMLファイルなど、特定のファイルの場所をブラウザに伝えるための記述です。適切なパスを記述することで、ページ上に正しくコンテンツを表示したり、別のページへ移動させたりすることができます。

このパスには主に絶対パス・相対パス・ルートパスの3種類があり、それぞれ記述方法や使いどころが異なります。たとえば、画像を表示する場合のパスの書き方は以下のようになります。

<img src="https://example.com/images/logo.png" alt="ロゴ画像">
<img src="../images/logo.png" alt="ロゴ画像">
<img src="/images/logo.png" alt="ロゴ画像">

このように、パスの種類によって書き方が異なるため、使用する環境や知識レベルに応じて、適切にパスを使い分ける必要があります。

絶対パスと相対パスとルートパスの違い

ホームページ制作でよく使われるパスの指定方法には、絶対パス・相対パス・ルートパスの3種類があります。それぞれ参照の基準や記述の考え方が異なるため、違いを理解して正しく使い分けることが重要です。ここでは、それぞれのパスの特徴と違いを解説します。

絶対パス

絶対パスは、ファイルの場所をホームページ全体の位置から指定する方法です。

ドメイン名を含めてパスを記述するため、どのHTMLファイルから参照してもパスが変わることはありません。参照の起点が常に一定であることから、構造に関係なく安定した指定ができるのが特徴です。一方で、環境によってURLが変わる場合には不便になることもあるため、使用する場面には注意が必要です。

絶対パスは、常に一貫した参照を求める状況で効果的な選択肢となります。

相対パス

相対パスは、現在のファイルの位置を起点として目的のファイルまでの経路を記述する方法です。

フォルダ階層に応じて、上の階層へ移動したり、同じ階層や下のフォルダにアクセスしたりといった指定が行われます。このパスは柔軟性が高く、環境が異なってもそのまま動作させやすいというメリットがあります。

ただし、構造が複雑になるとパスの管理が煩雑になり、意図しない参照ミスの原因にもなります。

相対パスを扱うには、サイト内のディレクトリ構成を正確に把握していることが求められます。

ルートパス

ルートパスは、ホームページのルートディレクトリを起点として記述する方法です。

先頭にスラッシュをつけて、サイト全体の構造に沿ってパスを記述することで、どの階層のページからも統一した書き方でファイルを参照できます。絶対パスと似た安定性を持ちながら、ドメイン名を含まないため、テスト環境と本番環境でURLが異なる場合でもそのまま使える点がメリットです。

ただし、ルートディレクトリからの正確な階層構造を理解しておかないと、誤った指定になってしまいます。

絶対パスの書き方

ホームページ制作において、絶対パスの記述方法は最も基本的な形式のひとつです。ここでは、絶対パスの記述例やメリット・デメリットを紹介します。

記述例

絶対パスは、ファイルの場所をドメインから指定する書き方です。たとえば、画像ファイルを参照する場合、以下のように記述します。

<img src="https://example.com/images/logo.png" alt="ロゴ画像">

このように、「https://〜」から始まるURL全体をパスとして指定することで、Webページがどの階層にあっても常に同じ場所を参照することができます。

メリット

絶対パスの最大のメリットは、常に同じ場所を正確に参照できる安定性です。

ページの階層やファイル構造に関係なく、URLを指定すればその通りにファイルを呼び出せるため、リンク切れのリスクが低くなります。

特に、非エンジニアがコンテンツ管理を行う環境では、絶対パスを使うことでパスの記述ミスが起きにくくなり、保守性や管理の効率が向上します。

デメリット

一方で、絶対パスは環境依存性の高さがデメリットになります。

たとえば、テスト環境と本番環境でドメインが異なる場合、絶対パスで記述していると、本公開時にすべてのURLを環境に合わせて修正する必要があり、作業工数が増えてしまいます。さらに、ローカル環境では指定したURLにファイルが存在しないため、画像やスタイルが正しく表示されないといった問題も発生します。

このような理由から、ホームページ制作フェーズでは絶対パスが使われることはあまりありません。

相対パスの書き方

相対パスは、現在のファイルを起点として、目的のファイルまでの経路を指定する記述方法です。ここでは、相対パスの記述例やメリット・デメリットを紹介します。

記述例

相対パスは、現在のファイルの位置から目的のファイルまでの相対的な位置関係を示して記述します。

<img src="../images/logo.png" alt="ロゴ画像">

この例では、現在のHTMLファイルから見て一つ上の階層にある「images」フォルダ内の「logo.png」という画像ファイルを参照しています。

「../」はひとつ上のフォルダを意味し、「../../」のように繰り返すことで2階層上のフォルダを指定できます。「./」は現在のファイルと同じ階層を参照する際に使いますが、通常は省略されることが多く、書かなくても問題ありません。

相対パスを正しく使うには、ファイルやフォルダの構成を把握しておくことが大切です。

メリット

相対パスの最大のメリットは、環境に依存しない柔軟性の高さにあります。

たとえば、テスト環境と本番環境でドメインが異なっていても、ファイルの構成が同じであれば、パスを変更せずにそのまま利用できます。また、ローカル環境でもブラウザでの動作確認が可能なため、開発初期の検証がスムーズに進められます。

相対パスを使うことで、ローカルやテスト環境でも本番に近い状態で表示確認ができるため、事前の検証がしやすくなります。

デメリット

一方で、相対パスはディレクトリ構造が複雑になると管理が煩雑になるというデメリットがあります。

複数階層をまたぐ場合、「../」などの記述が連続して読みづらくなり、ミスを誘発する原因となることがあります。また、サイト全体で構造変更が発生した場合、相対パスの修正範囲が広がることもあり、メンテナンス性が下がる点にも注意が必要です。

特に、複数人で制作・運用するホームページでは、各自がディレクトリ構成を正確に理解し、ファイル同士の位置関係を意識してパスを記述する必要があります。

ルートパスの書き方

ルートパスは、ホームページのルートディレクトリを起点として記述する方法です。ここでは、ルートパスの記述例やメリット・デメリットを解説します。

記述例

ルートパスでは、パスの先頭に「/」を付けて、ルートディレクトリから目的のファイルまでのパスを示します。たとえば、以下のように記述します。

<img src="/images/logo.png" alt="ロゴ画像">

この例では、「/images/logo.png」という記述によって、ホームページのルートフォルダ直下にある「images」フォルダの中の「logo.png」を参照しています。

ルートパスは、ページの階層にかかわらず一貫した指定が可能で、プロジェクト全体の構造が安定していれば非常に扱いやすい形式です。

メリット

ルートパスの大きなメリットは、どの階層のページからでも一貫した書き方ができることです。

階層の深さに左右されず、すべてのファイルをルートからの道筋で指定できるため、コードの見通しがよく、パスの混乱を防げます。また、テスト環境と本番環境でドメインが異なる場合でも、ドメイン名を含まないため、環境ごとにパスを修正する必要がありません。

これは絶対パスとの大きな違いであり、開発段階から本番公開まで、パスの書き換えを最小限に抑えられます。さらに、複数人での制作や運営を行うホームページでも、ルールを統一しやすく、チーム全体の作業効率や保守性が向上します。

特に、CMSを使ったホームページ制作においては標準的に使われることが多く、保守性の高い記述方法です。

デメリット

一方で、ルートパスにはいくつかのデメリットもあります。

まず、ローカル環境ではルートパスが正しく機能しない場合があるという点です。ローカルでテストする際に、仮想サーバーなどを使わずにブラウザで直接HTMLファイルを開くと、ルートの解釈がされず、パスが通らないことがあります。

また、ルートパスを使うには、サイト全体のディレクトリ構成を明確に把握しておく必要があるため、初心者にはやや難易度が高い場合もあります。

意図しないパス指定ミスを防ぐためにも、初めに正確なフォルダ構成を決めておくことが重要です。

絶対パスと相対パスとルートパスの使い分け方

パスの種類には絶対パス・相対パス・ルートパスがありますが、どの場面でどのパスを使えばいいのか迷う方も多いのではないでしょうか。ここでは、ホームページ制作の現場や運用者の立場によって、どのようにパスを使い分けるべきかを解説します。

制作会社は相対パスかルートパスを使う

ホームページ制作の現場では、テスト環境と本番環境を行き来することが多いため、ドメインに依存しないパス指定が求められます。そのため、制作会社では相対パスかルートパスが多く使われます。

絶対パスはドメインを含むため、テスト環境ではリンク切れや画像の非表示が発生しやすく、環境ごとの修正作業も増えてしまいます。一方、ルートパスはどの階層からでも安定してファイルを参照できるうえ、パス構造を統一しやすいため、チーム開発や保守のしやすさにもつながります。

このように、柔軟性・再利用性・管理のしやすさといった観点から、制作フェーズでは相対パスやルートパスの採用が一般的です。

お客様は絶対パスを使う

一方、ホームページを運営するお客様側では、絶対パスがよく利用されます。理由はシンプルで、どのページからでも常にファイルを正確に参照できるため、パス指定のミスが起きにくいからです。

WordPressなどのCMSやHTMLエディタの操作に不慣れな場合でも、絶対パスで指定しておけば、画像やリンクが安定して表示されやすくなります。また、画像のアップロード先が決まっている場合には、絶対パスを使うことで編集のたびにパスを意識する必要がなくなり、日々の更新作業がスムーズになります。

特に、社内スタッフがホームページを運営するケースでは、絶対パスのほうが扱いやすく、更新時のトラブルが起きにくくなります。

まとめ:パスの違いと特徴を理解しておこう

ホームページ制作において、絶対パス・相対パス・ルートパスは、それぞれ異なる特徴と用途を持っています。

絶対パスはURLを明示的に指定できるため、運営時の安定性に優れていますが、環境が変わると修正が必要になります。一方、相対パスやルートパスは、ドメインに依存しない記述ができるため、テスト環境での柔軟性に優れています。

制作会社では環境移行のしやすさを重視して相対パスやルートパスを採用する一方で、ホームページを日々運営するお客様側では、ミスの起きにくい絶対パスが好まれる傾向があります。

それぞれのパスの特性を理解し、目的や運用体制に合わせて使い分けることが、効率的でトラブルの少ないサイト管理につながります。

ホームページ制作において、画像やリンクの表示を正確に行うには絶対パス・相対パス・ルートパスの理解と設計が欠かせません。パスの指定ミスは表示崩れやリンク切れの原因となり、ユーザーの信頼を損なう要因にもなり得ます。当社では、パスの設計を含めた構造面の品質管理を徹底し、内部構造から安心できるホームページ制作を行っています。制作後の運用まで見据えた保守性の高いホームページ制作をご希望の方は、お気軽にご相談ください。
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